顎関節症かも?!何科を受診するの?

顎関節症かも?!何科を受診するの?
口を開けると顎の関節がコキッまたはゴリッと音がする、顎に痛みがある、口が開きづらくなった、そんなお悩みを抱えている方はいらっしゃいませんか?もしそんな症状が続いている場合、それはひょっとしたら顎関節症(がくかんせつしょう)かもしれません。

 

今回は、顎関節症について症状や原因、何科を受診するのか、どのような治療法があるのか、そして受診する時期の目安などについてご紹介します。

 

1.顎関節症とはどんな病気?

顎関節症とは、顎関節、またはその周辺の筋肉おいて何らかの症状が認められる場合に検査をし、明らかな炎症、脱臼や骨折、腫瘍などの病気などが見つからないものを言います。

 

顎関節症は人生のうちで約半数の人が一度は経験すると言われ、あらゆる年代層において起こり得るものですが、特に女性に多くみられ、多くの場合は10代で発症し、20~30代で歯医者や病院を受診する人が最も多くなります。

 

2.顎関節症だと疑われる症状とは?

 

次のような症状がある場合、顎関節症の可能性があります。

 

◆顎の関節から雑音がする
顎関節症の初期に現れる症状で、お口の開け閉め時や、顎を動かす際にカクカク、ゴリゴリといった音がなる。

◆顎の痛み
ものを噛むと顎の関節に痛みが走る、噛んでいるとすぐに顎が疲れて痛くなる、顎全体が重苦しいように痛む、というような痛みの症状が続く。

◆お口が大きく開けられない
お口が2横指(指を縦に2本分)程度開けることができない、もしくは痛みがあるために大きく開けることができない。

 

以上は顎関節症の3大症状と呼ばれ、単発で起こることもあれば、複数の症状が同時に起こることもあり、その場合にはより顎関節症の疑いがさらに強くなります。また、このほかにも頭痛やめまい、耳鳴りなどの症状を感じる人もいます。

 

3. 顎関節症の原因

現在、顎関節症の主な原因として、ストレスが最も濃厚だとされており、ストレスが原因で起こる歯ぎしりは、特に顎にとって非常に悪影響を及ぼします。歯ぎしりは単なる癖で行っている場合もありますが、ストレスも歯ぎしりを引き起こす大きな原因となっています。歯ぎしりは、あごの骨に過剰な負担をかけてしまうことで顎関節症を引き起こすだけでなく、歯を傷めてしまうことでもよく知られています。

 

4. 顎関節症だと疑った場合、何科を受診するの?

顎周辺に雑音や痛み、お口の開きづらさといった顎関節症のような症状がある場合、いったいどこの科を受診したらいいのか、迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

もし、顎関節症かも?と思われる場合、まずはお近く、もしくはかかりつけの歯科医院を受診してみましょう。その際、歯科で対応しきれないような症状がある場合には、より専門性の高い病院の口腔外科などに紹介されることもあります。

 

5. 顎関節症の治療法

 

5. 顎関節症の治療法

 

5-1 軽度の場合→歯科医院での治療

症状、病態が軽度の場合には、一般的に歯科医院で次のような治療が行われます。

 

<スプリント(マウスピース)療法>
歯科医院で最も一般に行われるのはスプリント療法です。就寝中に歯ぎしりや食いしばりをしていてあごの骨や筋肉に負担がかかっていることが原因と考えられる場合、スプリントと呼ばれるマウスピースを作製し、就寝中に装着することで顎関節への負担を和らげます。

<薬物療法>
痛みがひどい場合には、鎮痛剤の処方が行われる場合もあります。

<レーザー照射>
患部にレーザーを照射することで血流が改善し、筋肉の緊張を和らげる効果が期待できます。

<噛み合わせを整える>
噛み合わせが悪いことが原因だと考えられる場合、被せ物をして噛み合わせを整える、もしくは歯の矯正治療が勧められることもあります。

<日常生活上での指導>
顎関節症を悪化させないために普段の生活で気をつけるべきこと、セルフケアなどについての指導を行います。

 

5-2 重度、もしくは歯科医院での治療で治らない場合→専門医での治療

症状が重度の場合、もしくは、歯科医院で治療を行なっても、生活習慣の見直しをしても改善が見られない場合、専門医(口腔外科)にて更なる検査を行い、耳の前にある顎関節に直接ステロイドや生理食塩水などを注射する治療や理学療法を行うことがあります。

 

それほど多くはありませんが、もし顎関節に癒着や骨の変形といった異常が見られる場合には、外科手術を行うこともあります。

 

6. 顎関節症を悪化させないために自分で気をつけられることは?

顎関節症というのは、どのような生活習慣を送っているか、ということも発症や悪化に関係してきます。そのため、顎関節症を悪化させないためには、日常生活において次のようなセルフケアがおすすめです。

 

6-1 症状が強い時

・顎関節、その周囲の筋肉を冷やす
・あくびなどで大きく口を開けるのを避ける
・硬いもの、ずっと噛まないといけないものを避ける
・急に口を開け閉めせず、ゆっくり行う

6-2 症状が和らいできた時

・顎関節やその周囲の筋肉を温める
・筋肉を優しくマッサージする(関節部分は押さない)
・筋肉を伸ばすリハビリをする
・頬杖やうつ伏せ寝、食いしばりといった関節に負担をかける行為を避ける

7. 顎関節症の疑いのある場合、どれくらいまでに受診したほうがいいの?

 

7. 顎関節症の疑いのある場合、どれくらいまでに受診したほうがいいの?

 

大半の病気や症状は、できるだけ症状が軽いうちに医療機関を受診し、治療を受けた方が良いのですが、顎関節症の場合はどうなのでしょうか?

顎関節症は、放っておいても自然に短期間で症状がなくなる場合もあり、そのような場合には特に受診する必要はありません。ですが、症状が繰り返したり、続いている場合、その状態を放置していると痛みや不快症状によりストレスを抱え続けることになりますし、ストレスによって歯ぎしりを継続的に行っている場合、骨や筋肉、歯に過剰な負担がかかり続けることによってさらに症状が悪化していく可能性があります。

そのため、顎関節から音がする、顎や顔に痛みがある、口が開きづらい、あごの動きが悪い、といった症状が出ている場合には、歯科にできるだけ早く足を運んで検査を受け、原因を突き止めることをおすすめします。

 

8.顎関節症を放置したら最悪どうなる?

もし顎関節症を放置してしまった場合、最悪どういったことが起こるのでしょうか?

顎関節症の場合、それを放置していると、顎関節への負担はますます増えてしまいますので、痛みがひどくなります。そうすると、痛みを避けてだんだんと固いもの、大きなものが食べられなくなっていきます。

また、そうやって固いもの、大きなものを食べない状態が続くと、今度は顎関節が固まってきてしまい、本当に口が開かなくなっていきます。口があまり開けられないと、お食事に支障が出るだけでなく、あくびができなくなったり、歯科治療を受ける際にも問題が出てきたりしてしまいます。

また、顎関節だけの問題にとどまらず、頭痛や肩こり、首の痛み、耳鳴り、めまい、腰痛、女性の場合には生理痛の悪化が起こることもあると言われています。

 

9.まとめ

顎関節症は、それそのものが命に関わる病気、というわけではありませんが、放置すると顎や顔面の痛みだけでなく、食べる機能にも悪影響を及ぼし、いずれ体の不調にまでつながっていくという厄介なものです。

最初のうちは顎の雑音だけでそれほど不便を感じることはありませんが、もし繰り返しその状態が起こる場合、できるだけ早めに対処することで、悪化をできるだけ止める、もしくは治る場合もあるので、気になる症状がある場合には、まずはかかりつけの歯科を受診してみることをおすすめします。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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