保険適用の白い歯「CAD/CAM冠」とは!メリットとデメリットを解説

保険適用の白い歯「CAD/CAM冠」とは!メリットとデメリットを解説
奥歯に被せ物をしなければならなくなった時、
「銀歯は目立つから嫌だな」
「でも、白い歯は高いし、保険でないとムリ・・」

と、白い歯をあきらめてしまったことはありませんか?
奥歯の保険治療は銀歯しかない、というのはもう過去の話。
実は今、保険で入れられる白い被せ物があるんです!
それが「CAD/CAM冠(キャドキャムかん)」と呼ばれるものです。

CAD/CAM冠が保険治療に取り入られたことで、これまで予算的に難しく、銀歯を余儀なくされていた人でも、見た目のよい治療法が可能になっています。

今回の記事では、むし歯治療を予定している方、また現在お口にある銀歯を保険治療で白い歯にしたいと検討中の方向けに、

  • CAD/CAM冠とは具体的にどのようなものか?
  • CAD/CAM冠の保険適用範囲について
  • CAD/CAM冠のメリット・デメリット
  • CAD/CAM冠と自費の白い歯との違い

について詳しく解説していきます。
ぜひ、最後まで読んでいただき、治療の選択の参考にしていただければ幸いです。

 

1.保険適用の白い歯「CAD/CAM冠」とは

 

「CAD/CAM冠」とは、歯科用の専用機器で作製する白い被せ物(クラウン)のことです。この名前の由来は、CADは「設計」、CAMは「加工」ということからきています。

つまり、CAD/CAM冠をシンプルに説明すると、被せ物の形をパソコン上で設計し、その通りに機械が被せ物を削り出して加工する、というイメージでとらえてもらうとよいでしょう。

昔から行われていた治療法では、歯を削った後に粘土のような材料で型取りをし、それをもとに模型を作って歯科技工士が手作業で被せ物を作製していました。

ですが、CAD/CAM冠が登場したことにより、削った歯を3Dカメラでスキャンして型取り、そのデータを元にパソコンで被せ物の形を設計し、専用機器が自動的に白い被せ物を作り出すので、患者さんの身体的負担の軽減、そして治療が大幅に効率化します。

 

2.「CAD/CAM冠」の保険適用範囲

2.「CAD/CAM冠」の保険適用範囲

2-1 CAD/CAM冠はほぼすべての歯に保険適用可能

CAD/CAM冠が保険治療に取り入れられた2014年4月時点では、前から4番目、5番目の小臼歯のみが対象となっていました。

その後、前から6番目・7番目の大臼歯に関しても、金属アレルギーがあるといった条件においてのみ適用が可能となりましたが、2023年12月より適用範囲が拡大し、現在ではすべての歯においてCAD/CAM冠が保険適用になりました。

 

2-2大臼歯の場合、種類によっては条件付きで保険適用可能

ただしCAD/CAM冠の材料にはいくつかあり、そのうち大臼歯に使用される材料Ⅲと材料Ⅴ(PEEK冠)では適用範囲に違いがあります。

具体的には、材料Ⅲは条件付きで適用可能、材料Ⅴはすべての歯に適用が可能です。

材料Ⅴ(PEEK冠)は新しく導入された材料で、強度に優れますが、色のバラエティがなく、一色しかないため、見た目が劣るという難点があります。

その点、材料Ⅲはいくつかカラーバリエーションがあるので、審美性において有利ですが、材料Ⅴ(PEEK冠)よりも強度に劣るため、かみ合わせの状態によっては適用不可となります。

 

2-3 CAD/CAM冠の保険適用範囲のまとめ

現時点(2025年9月時点)でのCAD/CAM冠の保険適用範囲を分かりやすくまとめると、次のようになります。

◆小臼歯(前から4番目・5番目の歯)
→ 原則、無条件ですべての歯に対して保険適用可能
◆大臼歯(前から6番目・7番目)
→ すべての歯に対して可能だが、種類によっては条件あり(かみ合わせの状態による)

※なお、個人個人のお口の状態やかみ合わせの状態によっては不可能と判断される場合もあるため、詳しくは歯科医院でご相談ください。

 

3.「CAD/CAM冠」のメリット・デメリット

 

3-1メリット

◆白くてより自然な見た目にできる
白い材料を使用しますので、銀歯に比べると見た目よく、より自然な外見で治療をすることができます。

◆金属アレルギーの心配がない
CAD/CAM冠で使用される材料はハイブリッドレジンと呼ばれる「セラミック」と「プラスチック」を掛け合わせた材料で、金属を一切使用しませんので、金属アレルギーが心配な方でも安心して治療を受けていただくことができます。

◆歯茎を黒く変色させない
金属を使用する治療の場合、金属イオンが唾液に溶け出すことにより歯茎を黒くしてしまう「メタルタトゥー」が審美性を損ねてしまう場合があります。

CAD/CAM冠の場合、金属を使用しませんので、このようなリスクもありません。

◆リーズナブルに治療ができる
CAD/CAM冠は保険適用が可能ですので、セラミックのような自費治療とは違い、3割負担で1本数千円程度と、治療費を安く抑えることができます。

◆噛み合う歯に過剰な負担がかからない
CAD/CAM冠で使用されているハイブリッドレジンは、金属と比べて硬すぎず、天然歯の硬さに近いという特長を持っています。

そのため、噛み合わせる歯に過剰なダメージを与えることがなく、過剰なすり減りや、歯が割れるリスクを減らすことができます。

◆適合に優れ、むし歯の再発リスクを下げられる
CAD/CAM冠では、高性能の3Dカメラで歯をスキャンし、そのデータをもとに機械がハイブリッドレジンのブロックを設計通りに削り出して被せ物が作製されます。

それゆえ、設計通りの被せ物が出来上がり、歯との適合に優れるので、細菌が入りこみにくく、むし歯の再発リスクを下げられます。

 

3-2デメリット

◆金属よりも強度が劣り、割れることがある
CAD/CAM冠の材料は、金属に比べると強度が劣りますので、だんだんとひずみが出てくることにより割れることがあります。

◆歯を多く削る必要がある
材質的に強くないため、その分被せ物に厚みを持たせる必要があります。結果として銀歯を入れる場合よりも歯を多く削る必要性が出てきてしまいます。

◆年数が経つと、劣化・変色しやすい
材質的に劣化が起こり、傷がつきやすいため、年数が経つにつれて傷に色素が入りこみ、黄ばんでくる傾向があります。

◆かみ合わせが強い場合には向かない
CAD/CAM冠は銀歯やセラミックに比べて材質的に弱く、かみ合わせ的に強い力がかかってしまう場合や、歯ぎしりや噛みしめの癖のある場合には壊れる恐れがあります。そのため、状況によっては適用不可と判断される場合もあります。

 

4.「CAD/CAM冠」と自費の白い歯との違いは?

4.「CAD/CAM冠」と自費の白い歯との違いは?

保険で白い歯が入れられるのなら、そちらで十分なのでは?と思う人もいるかもしれません。ですが、CAD/CAM冠と自費の白い歯であるセラミックには、次のようにあらゆる面で大きな違いがあります。

CAD/CAM冠 セラミック
保険適用 保険適用内 保険適用外
審美性 白いので銀歯よりはよいが、色調の細かい調整や透明感に劣る オーダーメイドでその人に合った色に調整可能。天然歯に近い透明感も再現できる
強度 あまり強くない 優れる
耐久性 年数が経つと劣化し、変色や破損が起こりやすい 年数が経っても劣化しにくく、変色や破損も起こりにくい
汚れのつきやすさ 表面に傷がつきやすいので汚れが付きやすく、歯茎に炎症を起こすことがある 表面に傷がつきにくいので、汚れが付きにくく、歯茎の健康を保ちやすい

 

5.まとめ

 

CAD/CAM冠が保険治療に導入されたことで、それまでではほぼ銀歯しか選択肢がなかった奥歯の被せ物治療を、白い材料を用いて見た目よく治療できるようになったのはとても画期的なことです。

過去にやむを得ず銀歯を入れた人も、CAD/CAM冠に替えることでリーズナブルな価格でコンプレックスを解消することができるでしょう。

ですが、長期的な視点で言えば、CAD/CAM冠は長期間安定して使用するというのは難しいかもしれません。そういった意味では、セラミックは長くよい状態をキープしていきたいという方にはおすすめです。

当院ではCAD/CAM冠もセラミックも取り扱っておりますので、どちらにしようかお悩みの方はまずは一度お気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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