噛む力(咀嚼力)が弱くなると老ける!見た目にも健康にも影響するその理由とは!?

噛む力(咀嚼力)が弱くなると老ける!見た目にも健康にも影響するその理由とは!?
「近頃硬いものがうまくかめなくなってきた」「やわらかいものばかり食べている」「すぐにあごが疲れてしまう」

そのような方はいませんか?
もしそうなら、それは噛む力(咀嚼力:そしゃくりょく)が衰えているサインかもしれません。

噛む力というのは、さまざまな理由で弱くなってしまうことがあります。噛む力が弱くなると、単に物が食べづらくなるだけでなく、見た目にも全身の健康にも大きな影響を及ぼすことがわかっています。

「噛む力が衰える」というと、歳をとってからの話だと思う人もいるかもしれません。
ですが、その兆候は若い頃から始まり、徐々に進んでいくことも多いのです。

そこで今回は

  • 噛む力が弱くなることで起こる悪影響
  • 噛む力が弱くなってしまう原因
  • 噛む力を強くする方法

について解説していきます。
噛む力を維持して老けた見た目や体の衰えを予防していきたい!という方はぜひ今回の内容を参考にしてみてくださいね。

 

1.噛む力が弱くなることで起こる悪影響

 

1-1栄養をしっかりと摂れなくなる

噛む力が衰えると、食べやすい高カロリーのものばかり食べるようになって噛み応えのある食べ物(肉、野菜)などを避けるようになり、蛋白質やビタミン類、食物繊維といった栄養素が不足がちになります。

バランスよく栄養が摂れないと、肥満、免疫力の低下や筋力低下、便秘など、さまざまな体の不調の原因になります。

 

1-2顔のしわやたるみが起こりやすくなる

しっかりと噛むということは、顔の筋肉も動かすことになります。噛む力が衰えてあまり噛まない状態が続くと、顔の表情筋も衰えてしまいますので、頬のたるみ、ほうれい線、口角の下がりなど、老けて見える変化が起こりやすくなってしまいます。

 

1-3 胃腸のトラブルが起こりやすくなる

あまり噛まなくなると、食べ物がよく噛み砕かれない状態で胃腸へ送られてしまいますので、消化不良、胃もたれ、胃痛など胃腸トラブルを引き起こす原因にもなります。

 

1-4認知機能が低下しやすくなる

「噛む」という動作は、脳に血流を増やすことにもつながります。噛む力が衰えてあまり噛まなくなると、脳への血流が少なくなり、認知機能を低下させてしまうことにつながる恐れがあります。

 

1-5全身の虚弱につながり、転倒しやすくなる

歳とともに現れる体の衰えは、実は口周囲の筋肉の衰えから始まると言われています。噛む、飲み込むという動作に関わる筋肉が衰えると、栄養がしっかり摂れないことで体の虚弱につながり、転倒しやすくなって将来的に寝たきりになるリスクを高めてしまう恐れがあります。

 

2.噛む力が弱くなってしまう原因

2.噛む力が弱くなってしまう原因

噛む力が弱くなるのは年齢による体の衰えによるものだから仕方がない、と思われがちです。たしかに年齢とともに筋力低下などが起こるのは仕方のない部分もありますが、歳をとっても噛む力がしっかりしている人もいます。
つまり、噛む力が衰えるのは「年齢のせい」だけではないのです。

実は次のようなことが噛む力を弱くしてしまう原因となっているのです。

 

2-1歯の病気、喪失

むし歯や歯周病があると、状況によってはしっかりと噛むことができなくなります。
また、歯が抜けてしまってそのままにしていると、歯が無いので当然噛めなくなってしまいます。

もし歯を補う治療をしたとしても、被せ物のかみ合わせが悪かったり、入れ歯が合っていなかったりすると噛む力を十分に発揮することができません。

 

2-2かみ合わせ・顎関節症の問題

かみ合わせが悪いと、全体でバランスよく噛むことができず、片側だけで噛んでしまうなど、噛む筋肉を左右バランスよく使うことができず、使わない方の筋肉が衰えてしまいます。

また、顎関節症(あごの関節や筋肉の痛み、口の開きづらさ)がある場合、噛むと痛みや違和感が起こって、噛むことを避けてしまい、それによって噛む筋肉が弱ってしまうことがあります。

 

2-3やわらかいものばかり食べる食生活

現代では出来合いの物や加工食品を摂ることが増え、それとともに硬いもの、歯ごたえのあるものを食べない食生活になっている人が増えています。

やわらかいものばかり食べていると、あまり噛まなくても済むので噛む筋肉があまり働かなくなってしまいます。このようなことの蓄積が、噛む筋肉の衰えにつながっていってしまいます。

 

2-4 姿勢の悪さ

姿勢の悪さも噛む筋肉の衰えにつながりやすくなります。
たとえば、スマホを見ながらの食事をする場合、背中が丸まった状態になりやすくなります。そうすると、あごの動きが制限されてしまい、噛む筋肉をしっかりと働かせることができなくなります。

 

2-5多忙な生活・精神的ストレス

多忙な生活だと、食事にかける時間を十分に取れず、あまり噛まずに食べるような生活になりがちです。また、精神的なストレスが多すぎる場合も同様で、あまり食事にゆっくり時間をかけて食べようとしなくなります。

また、精神的に余裕がなく、ストレスが多い状態では日中の食いしばりや噛みしめ、眠っている間の歯ぎしりが起こりやすくなり、それが元で歯のトラブルや顎関節症を引き起こすことも多く、あまり噛めない、という事態を招くこともあります。

 

3.今日からでもできる!噛む力を強くする方法

3.今日からでもできる!噛む力を強くする方法

「噛む力が衰えてきているかも・・」という方でも、まだまだ大丈夫です。
たとえ今噛む力が衰えていたとしても、今からでも強くすることは十分に可能です。

今からでも噛む力を強くしたい!という方はぜひ次のような方法を実践してみてください。

 

3-1食生活の見直し

やわらかいものばかり食べているという人は、少しずつでも歯ごたえのある肉や穀物、繊維質の野菜など、歯ごたえのあるものも食生活に取り入れてみましょう。

 

3-2よく噛む、よく話す、よく笑うことを意識する

口周囲の筋肉も、体のほかの筋肉同様、使わなければだんだんと衰えてしまいます。
そうならないためには、日頃から「よく噛む」「よく話す」「よく笑う」ことを意識し、口の筋肉をよく動かすようにしてみましょう。

よく噛むためには、「一口分を少なめに」、「ゆっくり」食べるということが大事です。スマホを見ながらなどの食事は、しっかり噛まなくなる原因になりますので、あまりおすすめできません。

 

3-3 お口のケアを丁寧に行う

噛む力を維持するためには、歯の健康を保つことも欠かせません。
年齢を重ねるにつれ、むし歯や歯周病によるトラブルが起こりやすくなり、それと同時に噛む力も弱くなりがちですが、普段から丁寧にケアをしておくことで、そういったトラブルを避けることは十分に可能です。

そのためには、

  • 毎日の歯みがきを丁寧に行う(最低でも朝と夜の1日に2回)
  • 定期的(3~6か月に一度が目安)に歯科を受診して検診・クリーニングを受ける

ということを意識して行っていきましょう。

 

3-4 きちんと治療を受ける

むし歯や歯周病があるのに治療を受けずにそのままにしている、歯が抜けているところがあるのにそのままにしている、という場合、噛む力はどうしても弱くなります。
治療が必要なところは早めに治し、噛む力を維持していきましょう。
かみ合わせが悪い人は矯正治療を検討することもおすすめです。

 

3-5姿勢を正す

猫背、前かがみの状態ではあごを正しく動かすことができず、噛む力をきちんと発揮できません。食事中は背筋を伸ばして食べるようにしましょう。

 

4.まとめ

噛む力の低下は「単に食べる力が弱くなる」だけではなく、見た目、健康、認知機能などにも大きく関わってくるものです。

そして、噛む力の低下は多くの場合、若い頃から始まっていることが多いため、「噛みにくい」という状況が起こっている場合、早めに対策をしていくことが大事です。

歳をとってもイキイキした人生を送るために、噛む力を維持することは欠かせません。
皆さんもぜひ意識してみて取り組んでみてくださいね。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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