老後のインプラント治療はデメリットが多い?成功させるためのポイントは?

歳を重ねるにつれ、歯を失う人がだんだんと増えていきます。
歯の大切さというのは歯を失って初めて気づくもので、「もう一度かつてのよく噛める状態を取り戻したい」と、失った歯の代わりにインプラントを検討する方は多くいらっしゃいます。
しかし、「老後にインプラント治療をするのはデメリットやリスクが多いからよく考えたほうがいい」、と言われることがあります。
なぜ、若い頃には大丈夫でも、歳をとってからではこのようなことが言われてしまうでしょうか?
今回は、
- 老後のインプラントが悲惨、デメリットが多いと言われる理由について
- リスクを考えたらインプラント治療は避けたほうがいいのか?
- 老後だからおすすめするインプラントのメリット
- 老後のインプラント治療を成功させるためのポイント
といった内容について解説していきます。
60代以上の方、そして30代40代、50代の方にとっても参考になる内容となっていますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
1.老後のインプラントが悲惨、デメリットが多いといわれる理由とは?
老後のインプラントが悲惨、デメリットが多いと言われるのには、次のような理由があります。
1-1骨の量や質が悪くなっていることが多い
歯を支えている骨は、歯を失うとだんだんと痩せていきます。また、歯周病によっても歯の周囲の骨が溶かされて骨がボリュームを失っていきます。
歳をとるにつれてだんだんと歯を失う本数が増えること、歯周病で歯を失う人が多くなることから、インプラントをするのに十分な骨がない、という人も増えてきます。
また、特に女性の場合、閉経後は骨密度が下がり、骨の質が悪くなっていく人が増えます。
このような骨の量や質に問題がある状態ではインプラントを行っても失敗に終わるリスクが高くなってしまいます。
なお、こういった場合、骨の移植をすることも可能ですが、骨の移植手術自体が体にリスクとなる人もいます。
1-2全身疾患・薬によるリスクがある
年齢を重ねるにつれ、全身疾患を持つ人や病気のために薬を常用する人が増えます。
インプラント治療ではインプラントを埋め込む手術が必要になりますので、病気や薬によっては注意が必要になってきます。
たとえば糖尿病は手術中・後の細菌感染リスクが上がることでインプラントが失敗に終わるリスクがありますし、骨粗しょう症では骨が弱くなってインプラントを支えられない可能性があります。
また、骨粗しょう症には別の問題もあり、治療薬の副作用で、あごの骨の手術をすると骨が壊死してしまう恐れもあります。
さらに薬に関して言うと、血をサラサラにする薬を飲んでいる人の場合には手術中に血が止まらなくなるリスクがあります。
1-3メンテナンスが難しくなる可能性がある
インプラントは実は天然歯よりも念入りなケアが必要です。その理由は、インプラントの周囲組織(歯茎や骨)は、天然歯に比べて細菌感染を起こしやすく、お手入れが悪ければ感染があっという間に進行しやすいからです。
高齢になるにつれ、手が不自由になり、視力も低下しますので、セルフケアを丁寧に行うことが難しくなってきますし、歯科医院でのメンテナンスを受けることも難しくなっていきます。
結果的にインプラント周囲が炎症を起こし、骨が溶け、噛めない、という悲惨な状況にもなりかねません。
2.リスクを考えたらインプラント治療は避けたほうがいい?

老後のインプラントは確かにリスクを伴う可能性がありますが、必ずしも全員が避けたほうがいいというわけではありません。
体の状態というのは同じ年齢であっても人によって様々で、高齢になっても全く問題なくインプラントを良い状態で使えている人もいます。
つまり、
- 健康状態に問題がなく、健康的な生活を送っている
- 歯を失っていても骨はしっかりしている
- 歯のケアが自分できちんとできる
- 歯科医院のメンテナンスに通える
といった方であれば、高齢でインプラント治療を受けても問題は起こりにくくなるでしょう。
また、持病はあってもきちんとコントロールされている場合には、医師と相談の上、治療が可能になる場合もありますし、骨の状態が良くなくても、骨を増やす手術を受ける、もしくは骨が少なくてもできるインプラントを選択することでインプラント治療が可能になることもあります。
3.老後だからおすすめするインプラントのメリットとは?
老後だからこそおすすめしたいインプラントのメリットというのもあります。
それは次のようなものです。
3-1何でも食べられるようになる
インプラントは骨としっかりくっつきますので、自分の歯のように何でも噛めるようになります。その結果、栄養状態の改善、口周囲の筋肉の強化による老化防止、精神的な充足感など、多くのメリットがあります。
3-2脳に刺激を与え認知症防止につながる
よく噛めることから噛む刺激が脳にしっかりと伝わるので、脳の血流が良くなり、認知症防止にも効果が高いと言われています。
3-3体幹が安定し、寝たきり防止につながる
しっかりと噛めるのであごの位置が安定し、それが体幹の安定にもつながります。結果的に転倒しにくくなり、寝たきりのリスクを減らすことにもつながります。
3-4若々しい顔貌を維持しやすい
入れ歯やブリッジの場合、歯を失った部分の骨は徐々に痩せていきますが、インプラントは噛む力が直接骨に伝わるので骨が痩せにくく、若々しい顔貌を維持しやすくなります。
4.老後のインプラント治療を成功させるためのポイント

4-1まずは全身の健康管理を
インプラント治療に関し、老後でもっともネックとなるのはやはり全身の健康状態です。特に糖尿病や骨粗しょう症はインプラントの成功率を大きく下げてしまいますので、慎重に考慮・検討する必要があります。
4-2適した治療法を選択する
インプラントと言っても、さまざまなタイプのインプラント治療があり、体に負担の少ない方法を選ぶこともできます。
- 骨の移植を避けられる「ショートインプラント」(短めのインプラント)
- 少数のインプラントと入れ歯を組み合わせる「オーバーデンチャー」
このような方法は、体への負担を減らしつつ、しっかり噛めるので、高齢者の方にも適したインプラント治療法です。
4-3 メンテナンスを継続できるようにしておく
インプラントを長く良い状態で保つためには、セルフケアと歯科医院でのメンテナンスが欠かせません。これができないとインプラントは細菌感染によるトラブルを起こしてしまいます。
インプラント治療をした時点では元気できちんとケアができていたとしても、歳をとると自分でケアができなくなる可能性もあるため、家族や介護者が口内のケアをできるようにしておく、通院が難しくなったら訪問歯科を受けるといったことも考えておくようにしましょう。
4-4信頼できる歯科医院を選ぶ
インプラントは万人にとってベストな治療法ではなく、きちんと条件が整ったうえで行ってこそ素晴らしい結果をもたらしてくれるものです。
歯科医院を選ぶ際には、インプラントのメリットだけを伝えて勧めてくる歯医者ではなく、デメリットについても説明をし、ご自分の状況に合った提案をしてくれる歯医者を選ぶようにしましょう。
5.まとめ
インプラントをすることでしっかりと噛めるようになり、若々しさを保ちやすくなるといったメリットがある反面、環境と意識が伴わなければ悲惨な状態になってしまうこともあります。
そしてそれは、老後においては特にリスクが高くなります。
インプラントは長持ちさせられる治療法として知られていますが、それは正しい選択、適切なケアを伴ってこそ実現できるものです。
インプラント治療をお考えの方はその点を良く踏まえ、「これからどんな生き方をしたいのか?」ということを今一度考えてみて、後悔のない選択をしていきましょう。
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