一生モノじゃないの? インプラントの実際の寿命と、寿命を延ばす秘訣とは

「インプラントは人工物でむし歯にもならないし、埋めたら一生持つんでしょう?」
そう考えている人もいるのではないでしょうか。

実は、残念ならそうではありません。

確かにインプラントがむし歯になることはありませんが、だからと言ってインプラントが一生モノ、ということではないのです。

インプラントは体に埋め込まれている「体の一部」となっているものですので、ご自分の歯と同様、お口の中の細菌や外力などさまざまな影響を受けてしまいます。

そのため、「いかに丁寧にケアをしていくか」「どのような生活習慣を送るか」といったことが、長持ちさせられるかどうかのカギになってきます。

今回は、インプラントを実際に入れている方やこれからインプラント治療を考えている方向けに、インプラントの実際の寿命や寿命を短くしてしまう要因、そしてインプラントの寿命を延ばす秘訣についてご紹介していきます。

せっかくかけた治療費が無駄にならないためにも、ぜひ今回の内容を参考にしてみてくださいね。

 

1.インプラントの寿命が来たらその後はどうなる?

 

インプラントは一つの塊なのではなく、目に見える部分である被せ物(上部構造)と、目には見えない部分にある人工歯根(下部構造)のパーツより成り立っています。

そのため、どの部分の寿命が来たかにより、対応に違いが出てきます。

 

1-1被せ物の寿命が来た場合

被せ物はセラミックで作られることが多いですが、例えばセラミックが破損してしまった場合などにおいては、被せ物部分だけ修理・もしくは作り直しをする、という対応が可能です。

 

1-2人工歯根の寿命が来た場合

あごの骨に埋め込まれている人工歯根の部分の寿命が来てしまった場合、その後の対応としては次のような方法があります。

◆再度インプラントを埋め直す
インプラントを埋め込むのに十分な骨が残っている場合、もしくは骨を増やす手術をすればインプラントが可能になる場合には、インプラントを撤去した後にインプラントを再度埋め直す、という治療が可能です。

◆ブリッジや入れ歯の治療に切り替える
細菌感染などによるインプラント周囲の骨の破壊が大きく、インプラントを再度埋めることが難しい場合には、ブリッジや入れ歯といった別の治療法を選択していただくことになります。

仮に骨が十分に残っているケースでも、ヘビースモーカーでインプラントと骨の結合がうまくいかない可能性が高い場合や、持病でインプラント手術のリスクが高いといった場合には、再インプラントではなく他の治療法をおすすめすることもあります。

 

2.インプラントの寿命はどれくらい?

4.インプラントの寿命を延ばす秘訣

通常「インプラントの寿命」というと、それはインプラントが骨の中にとどまっている期間のことを指します。

インプラントの寿命は一般的に長いことで知られており、「半永久的に持つ」などとよく表現されます。

では、実際どのくらい持つものなのでしょうか。

厚生労働省のデータによると、埋め込んだインプラントの90%以上が10~15年、口内にとどまっている、ということが分かっています。

つまり、それ以上長く持っているケースもある、ということであり、実際には、適切なケアを続けることで20年、30年、もしくはそれ以上持っているケースも多く存在します。

もちろん逆に、お手入れの不良などによっては10年持たない場合というのも出てきます。

 

3.インプラントの寿命が短くなる要因とは?

3.インプラントの寿命が短くなる要因とは?

インプラントの寿命は日々のケアや生活習慣などに大きく影響されます。インプラントの寿命を短くしてしまう要因には次のようなものがあります。

 

3-1インプラント周囲の清掃不良

インプラントの寿命を短くする最大の要因は、「インプラント周囲炎」という、インプラント周囲の細菌感染症です。

これは、天然歯でいう歯周病に相当するもので、インプラント周囲の歯磨きが十分でない場合、細菌が溜まることでインプラント周囲の骨が溶かされ、だんだんとインプラントが支えられなくなり、インプラントが抜け落ちてしまいます。

 

3-2インプラントにかかる異常な力

インプラントは過剰な力や異常な力に弱く、そのような力が継続的にかかると、インプラントを支えている骨が溶けてしまい、やがてインプラントを支えられなくなっていってしまいます。

そのため、特に歯ぎしりや食いしばり、噛みしめをする癖のある人は要注意となります。

 

3-3喫煙

タバコを吸っている人は、インプラントと骨の結合がうまくいきにくい、ということが分かっています。仮にインプラントと骨が結合したとしても、細菌感染しやすいなどの理由から、早期にインプラントが脱落するリスクが高いです。

 

3-4糖尿病・骨粗しょう症

糖尿病にかかっていると、体の免疫力が低下してしまうため、インプラント周囲に感染症を起こすリスクが大きく高まります

骨粗しょう症は特に更年期の女性に多い病気ですが、骨の密度が下がることでインプラントをしっかりと支えにくいため、インプラントの寿命も短くなりやすくなります。

 

3-5口内の乾燥

口呼吸、加齢による唾液の減少、薬の副作用による唾液分泌抑制、ストレスなどにより口内が乾燥することがありますが、これにより、唾液の有用な効能が働かず、むし歯や歯周病、口内の炎症など、多くのトラブルの原因となります。

インプラントの場合も例外ではなく、乾燥することでインプラント周囲に細菌が溜まりやすくなり、インプラント周囲炎の危険性を高めます

 

3-6歯科医院でのメンテナンスを受けていない

毎日の歯磨きで100%汚れを取り切るのは困難で、取り残された汚れはやがてインプラント周囲炎を引き起こす恐れがあります。

また、使っていくうちに、インプラントのネジのゆるみや噛み合わせの当たりの変化といったものも起こってくることがあります。

歯科医院での定期メンテナンスを受けずにいると、このようなトラブルを見逃し、インプラントを早期に失うことにもつながります。

 

4.インプラントの寿命を延ばす秘訣

 

4-1徹底的なセルフケア

インプラント周囲炎を防ぐために最も重要なのは、毎日の丁寧な歯磨きです。食後には必ず歯磨きをし、ご自分の状態に合った補助清掃器具(歯間ブラシ、デンタルフロス)なども併用して、極力その都度汚れを取り切りましょう。

 

4-2定期的な歯科でのメンテナンス

定期的なプロによるクリーニング、インプラント周囲の骨の状態のレントゲン診査を受け、問題がないかどうかのチェックを受けましょう。

 

4-3過剰な力からの保護

異常なかみ合わせの力がかかっているようであれば、かみ合わせの調整、夜間のマウスピース装着などを行うことで、歯への負担を減らすことが大事です。

 

4-4生活習慣の改善

インプラントを長持ちさせるためには、体のコンディションを整えることも不可欠です。
タバコはインプラントの寿命を確実に縮めますので、禁煙しましょう。

歯や歯茎の健康を損ないやすい糖尿病や骨粗しょう症などの病気は、食生活・生活習慣を改善して予防・改善に努め、必要であれば適切な治療を受けるようにしましょう。

 

5.まとめ

インプラントは人工物と言え、「生体の一部」になっているものなので、さまざまな要因に影響を受けます。そのため、埋め込んで長持ちさせられるかどうかというのは一概に言うことはできません。

結局は、自分の歯と同様に、ご自身によるケアや体の状態、生活習慣などによって大きく左右されると言えるでしょう。

インプラントの寿命を短くする原因を知り、対策していくだけで、確実にインプラントの寿命を延ばすことができますので、「インプラントを長持ちさせたい」という人はぜひ今回の内容を参考にしてみてくださいね。

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