例外的に認められる?インプラントが保険適用される条件とは?

「インプラントって保険がきかない治療でしょう?」と思う人も多いでしょう。
確かに通常、インプラントというと原則は自由診療ですが、実は少ないケースにおいて例外的に保険適用が可能になる場合があります。
今回は、なぜ通常インプラントは保険がきかないのか。インプラントが保険適用になるための条件とはいったいどのようなものか、また、保険がきかない場合に治療費を抑えるための方法についてもご紹介していきます。
インプラント治療を受ける予定の方、興味のある方で、費用をできるだけ抑えたいという方はぜひ目を通してみてくださいね。
1. なぜ通常インプラントは保険がきかない?
歯科治療には保険診療と自由診療(全額自己負担)があり、保険が適用されるのは、「病気を治す治療」や「失われた機能を回復する治療」といったケースで、基本的に「必要最低限」の治療のみがカバーされます。
インプラントに関しては、
- 保険治療が可能なブリッジや入れ歯の選択肢がある
- 機能回復以上の審美的要素が強い
といったことから、最低限の治療とは認められず、現在の日本においては原則として保険は適用されません。
2. インプラント治療が保険適用される「症例」の条件とは?

単なる「歯の欠損」では、インプラント治療で保険は適用されません。
保険が適用となるのは、「生まれつきの異常や、事故や病気などによりあごの骨を広い範囲で失ってしまった、というような特殊な場合」で、一般的な歯科治療(ブリッジ、入れ歯)では支えが足りず、治療が不可能なケースにおいて適用されます。
具体的には次のような状態です。
2-1生まれつきの病気がある場合
先天性(お母さんのお腹の中にいる時から)の原因で、永久歯が6本以上、もしくは特定の範囲で多数欠損している場合や正常にあごの骨が成長しなかった場合です。
通常は親知らずを除くと28本歯が生えますが、生まれつきの病気により歯が多数生えてこないことがあります。
<対象となる病気の例>
- ダウン症候群:歯が多数欠損することがあります
- 外胚葉異形成症:歯が数本しか生えない、もしくは1本も生えないことがあります
- ラッセル・シルバー症候群:歯が欠損することが多いです
- 口唇裂、口蓋裂:あごの骨に欠損が現れます
- 鎖骨頭蓋形成不全症:鎖骨や頭蓋の形成に異常が出ます
- トリ―チャー・コリンズ症候群:頬やあごの骨の発達が未発達になります
2-2あごの骨の大幅な欠損がある場合(外傷やがんなどにより)
交通事故や転落事故などの外傷により、あごの骨が粉砕して広い範囲で失われてしまった場合や、あごのがんによって骨を大きく切除した場合です。
骨を大きく失ってしまうと、入れ歯を入れようとしても乗せるための土台がないため、安定させることができず、「話す」「噛む」といったことができません。
このような場合には、インプラントを支えにして人工的なあごや歯を作らなければならないため、例外的に保険が適用となります。
2-3あごの骨の骨髄炎や骨の「壊死」がある場合
あごの部分の病気、もしくは他の病気の治療の副作用の結果として、あごの骨が大きくダメージを受けてしまったケースです。
◆重度の骨髄炎
あごの骨に細菌感染を起こし、それが骨髄にまで達することで広範囲の骨が壊死してしまった場合
◆放射線治療後
顔面周囲にがん治療の一環として放射線治療を行った副作用の影響で、数年後に骨の血流が悪くなって骨が腐ってしまった場合
このようなケースでは、壊死した骨を取り除く必要があり、別の場所から骨を取って移植する「再建手術」が必要になります。
そして、その際にかみ合わせを安定させるためのインプラントは「人工臓器」のような扱いとして認められるため、保険適用が可能になります。
3.インプラント治療、保険適用を受けられる歯科医院の条件
症例が上の条件を満たしている場合でも、保険でインプラントを受けられる医療機関は限られており、一般的な歯科医院ではなく、地方厚生局に届け出を出した「国が定めた高度な設備を整えた医療機関」でなければなりません。
その条件は以下となります。
3-1. 病院の体制(入院設備・スタッフ)が整っていること
主に大学病院や総合病院の歯科口腔外科など、入院設備を完備し、大がかりな手術や合併症に対応できる体制を備え、地方厚生局から認可を受けた施設である必要があります。
また、手術後の急変にも対応可能なように、24時間体制の医療管理が整っていることも必要です。
3-2実績・経験が十分にある口腔外科医がいること
歯科口腔外科に5年以上の勤務経験がある、またはインプラント治療に3年以上従事した実績のある歯科医師が常勤している、ということも必要です。
3-3高度な医療機器を備えていること
正確・安全な治療を行うための医療機器を備えていることも必要になります。
具体的には、骨の状態や神経の位置を正確に見ることのできる「CT装置」、手術中の心電図、血圧、血中酸素濃度などをモニタリングできる全身管理体制を備えていることです。
3-4医科との連携体制があること
とくに先天性の病気やがん治療後の患者さんにおいては、医科の主治医と密に連携して全身状態を管理できることが求められます。
4.保険適用外となる一般的なケース
インプラント治療を受ける人のほとんどが該当する「保険が適用にならない場合」とは、次のようなケースです。
- むし歯で歯を失った
- 歯周病で歯を失った
- 歯が割れて抜歯した
- 入れ歯やブリッジでも治療可能だが、噛み心地や審美性の改善をしたい
以上のようなケースは、大きなあごの骨の欠損などはなく、他の治療法でも治療が可能となりますので、保険は適用されません。
5.インプラントの費用を抑えるためにできることは?

インプラントが保険適用外となると「支払いが大変なので厳しい」となってしまう人もいるかもしれません。
ですが、支払いの負担を軽減する方法はありますので、参考にしてみてください。
5-1医療費控除を利用する
インプラントは高額になりやすいため、「医療費控除」の制度を利用することで所得税、住民税の一部が返ってくることがあります。確定申告を行うだけで数万円~十万円単位の軽減につながることもあるので、領収書はしっかり保管しておきましょう。
→医療費控除について詳しく
5-2分割払いにする
予算的に一括払いが難しい、という場合には、インプラントの治療費を分割払いやデンタルローンで払える場合もありますので、歯科医院に聞いてみましょう。
5-3複数の治療法の選択肢を確認しておく
インプラント治療といっても、とくに歯を多く失ってしまったケースの場合、インプラントを埋め込む本数や素材、治療法によって治療費は大きく違ってきます。
ご自分の場合には具体的にどのようなインプラント治療法が可能なのか、歯科医師に複数の選択肢を提示してもらい、治療費も比較して納得のいく治療法を選ぶようにしましょう。
6.まとめ
インプラントが保険適用になるのは、歯やあごの状態に関して、病気や事故など、医学的にやむを得ない特別な事情がある場合に限られ、通常の「むし歯や歯周病などで歯を失ったケース」においては、いくら歯を多く失ったとしても、あごの骨がやせたとしても適用されません。
もし、ご自分やご家族のケースが該当するかどうかわからない場合には、まずは歯科、歯科口腔外科で確認してみるとよいでしょう。
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