インプラントの再手術が必要なケースとは?失敗する6つの原因と後悔しない歯科医院の選び方

「インプラントを入れたのに再手術が必要になった」、このような経験をされた方、もしくは今まさにその不安を抱えている方は、決して少なくありません。
インプラントは成功率が高い治療法として知られており、適切なケアを行えば10年、20年と使い続けることができる、非常に優れた治療法です。
しかし、どんなに優れた医療技術であっても、少数ながら「うまくいかないケース」というのは出てきてしまいます。
高額な治療費を払ったのに「再手術が必要」となると、心身的にも経済的にもとても辛いものですよね。
そこで今回は、インプラント治療を検討中の方向けに、インプラントの再手術が必要になる主な原因を解説し、再手術をする場合の治療の流れや目安、さらには失敗リスクを最小限に抑えるための医院選びのポイントまで、わかりやすく解説していきます。
1.インプラントの「再手術」が必要になる6つの主な原因
インプラントが再手術になってしまう場合、そこに至るまでには主に次のような6つの原因があります。失敗を事前に避けるためにもぜひ知っておきましょう。
参考サイト:インプラントネット インプラント治療の失敗例|失敗率は?失敗しない方法は?
1-1インプラント周囲炎
再手術に至る原因として一番多いのが、「インプラント周囲炎」です。
これは、天然歯における歯周病に相当するもので、インプラント周囲に細菌感染を起こし、最終的にはインプラント周囲の骨が溶けてしまってインプラントが抜け落ちてしまいます。
直接的な原因は「清掃不良」で、日常的な歯磨きを怠っていたり、定期的な歯科でのメンテナンスを怠ったりすることで起こります。
1-2骨とインプラントがくっつかなかった
インプラントを機能させるためには、インプラントとあごの骨がしっかりと結合する必要があります。
通常、インプラントを埋めた後2〜6ヶ月かけて骨と結合しますが、次のようなことがあるとうまくくっつかないことがあります。
– ドリルで骨を削る際に加熱しすぎて骨がダメージを受けた
– 細菌感染してしまった
– 患者さんの骨質・骨量の不足
– インプラントに過剰な力をかけてしまった
– 全身疾患の影響
骨結合がうまくいかなかった場合、インプラントは骨に定着しません。そのため、再度インプラントを埋め込む必要があります。
1-3埋入ポジションがよくなかった
インプラントはただあごの骨に埋め込めばいい、というわけではなく、適切な角度、深さ、位置に埋め込む必要があります。これができていないと、トラブルの元になり、やり直しをしなければならなくなることがあります。
このような位置のズレは、CT撮影などの事前の精密診断が不十分であった場合や、経験の浅い歯科医師による施術において起こりやすくなります。
1-4過剰なかみ合わせの力
インプラントは天然の歯と異なり、骨との間に「歯根膜(しこんまく)」というクッションの役割をする薄い組織を持っていません。
そのため、インプラントに強い力がかかっても緩衝されず、そのままインプラントや骨にダメージを与え、人工歯の破損や脱落、インプラント体の破損、インプラント周囲の骨の破壊などを起こす原因となります。
1-5患者さん側の健康状態の悪化
インプラントをした部分の予後には、患者さんの全身的な健康状態も関係します。
たとえば、インプラントを入れた後に糖尿病が悪化すると、免疫低下を起こし、インプラント周囲に細菌感染を起こしやすくなります。
そのほか、骨粗しょう症の治療薬(ビスフォスフォネート系薬剤)の使用や、放射線治療をしている場合も、骨の状態の悪化につながり、インプラントがダメになるリスクがあります。
1-6喫煙
タバコを吸うと血流が悪くなり、傷の治りが悪くなるとともに、免疫力を低下させます。実際に、喫煙者のインプラント失敗率は非喫煙者に比べて高いことは明らかになっています。
実際には複数の要因が重なって再手術に至るケースも珍しくありません。「なぜこうなったのか」を患者さん自身が理解し、次の治療選択に活かすことが、後悔しないために大切なことです。
関連記事:一生モノじゃないの? インプラントの実際の寿命と、寿命を延ばす秘訣とは
2. 再手術の流れと費用の目安

2-1再手術はどのように進む?
再手術の方法は、トラブルの原因と骨の状態により、大きく2つに分かれます。
◆一度撤去して骨の回復を待つケース
まずインプラント体を除去し、数ヶ月かけて骨の再生を促します。必要に応じて骨を再生させる治療を行ったうえで、改めてインプラントの埋め込み手術を行います。骨の状態が悪いほど、待機期間は長くなります。
◆同時に再埋入できるケース
可能な場合にはインプラントの撤去と再埋入を同日に行うこともあります。
ただし、骨の量と質が十分であることが条件となります。
2-2費用は誰が負担する?
費用の扱いは、まず、保証期間内かどうか、によって大きく異なります。
保証期間内ならば、無料〜数割負担で対応してもらえるケースが一般的ですが、明らかなセルフケア不足や不慮の事故など患者さん側に問題がある場合には補償されない場合もあり、その場合には全額自己負担になります。
治療開始前に、保証の範囲と条件を必ず書面で確認しておくことが重要です。
費用は100%自己負担の場合には数十万円かかります。
2-3治療期間と費用の目安
再手術からインプラントが入るまでの期間は、数ヶ月〜1年程度かかるのが一般的です。これは骨の回復にある程度期間が必要になる、骨の状態には個人差がある、骨を再生する治療をやるとさらに期間が必要になる、ということがその理由です。
関連記事:顎の骨と歯科医療:骨が形成されるまでの期間
参考サイト:日本口腔インプラント学会 データから見るインプラント
3.失敗しないために!再手術(リカバリー)に強い医院選びの条件
歯科医院選びの際は、いざという時のためにも、再手術に強い体制を整えた歯科医院を選んでおくと安心です。
3-1CT・シミュレーションソフトを活用している
CT撮影とインプラントの埋め込みシミュレーションソフトを導入している医院では、骨の状態を立体的に把握したうえで精密な治療計画が立てられます。「勘や経験だけ」に頼らない、データに基づく診断体制が整っているかを確認しましょう。
3-2外科手術の設備と衛生管理がしっかりしている
手術のための個室があり、器具の滅菌・消毒体制が徹底されているかは、感染リスクを左右する重要な要素になります。
3-3保証制度が明確で充実している
保証期間・保証内容・適用条件が明確にされているか?文書化されているか?を必ず確認してください。口頭だけの説明では、いざというときにトラブルになりかねません。
3-4難症例・再手術の実績の有無
他院での失敗症例に対して再手術を受け入れているか?難症例への対応経験があるか?ということも、医院の技術力を測るうえで有効な指標となります。
3-5定期メンテナンス体制が整っている
インプラントには、治療後の定期検診・クリーニングが欠かせません。「入れたら終わり」ではなく、長期的に伴走してくれる医院を選びましょう。
4. インプラントを長持ちさせるためのセルフケア

再手術を防ぐためには次のような日々のセルフケアを実践しましょう。
4-1毎日のブラッシングと定期検診
インプラント周辺は汚れが溜まりやすい構造のため、丁寧なブラッシングとデンタルフロス・歯間ブラシの併用が基本となります。
また、3〜6ヶ月ごとの定期検診で、プロによるクリーニングと状態チェックを受けることが、長期的な安定につながります。
4-2ナイトガードによる保護
歯ぎしりや食いしばりをしている方は、インプラントや骨を保護するために、就寝時にナイトガード(マウスピース)を装着することが推奨されます。
関連記事:【徹底解説】インプラントのメンテナンスとは?長く使うために絶対知っておくべきポイント
5.まとめ
インプラントの再手術は、原因を正しく理解し、信頼できる医院を選ぶことで、そのリスクを大きく減らすことができます。
大切なのは、治療後も継続的にケアを続けること、そして万が一のときに誠実に対応してくれる医院と長く付き合うことです。
インプラントは、正しいケアと適切なサポートがあれば、生涯にわたって機能する治療法です。不安なことがあれば、ひとりで抱え込まず、まずは歯科医師にご相談ください。
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