子どものフッ素塗布はしたほうがいいの?安全性は?

子どものフッ素塗布はしたほうがいいの?安全性は?
お子さんをお持ちの方は、おそらく歯医者さんでお子さんへのフッ素塗布をすすめられた経験があるのではないでしょうか。

フッ素は虫歯予防に効果的と言われても、「フッ素が体に害になる」、「フッ素は危険だ」、というような話もあったりして、フッ素塗布をどうしようか迷っている方もいるかもしれません。

そこで今回は、フッ素とはどのようなものなのか、その安全性、そして歯科医がお子さんにフッ素塗布をすすめる理由、フッ素塗布の保険適用や費用などについて、詳しくご紹介していきます。

 

1.フッ素はどんな物質?フッ化ナトリウムの安全性は?

 

1-1フッ素は自然界に存在しているもの

 

フッ素は、虫歯予防として使われる「特別な薬」と思われがちですが、実は、土や海、川など、自然界のあらゆるところに存在している元素です。ですが、フッ素単体では存在することができないため、フッ化物という複合体として自然の中に至るところに含まれており、私たちの地球に住んでいる生物たちは皆、フッ化物を取り込みながら生きています。

 

人体においても、骨や歯、血液中や軟組織中にフッ素は存在しており、特に歯や骨を健康に保つために必要な元素でもあります。

 

1-2 なぜフッ素の積極的な使用が勧められる?

 

私たちは、毎日の食事からフッ素を取り込んでいるのにもかかわらず、なぜさらなるフッ素の積極的な使用が勧められるのでしょうか?

 

それはなぜかというと、私たちが普段食事の中や飲料水から取り込んでいるだけでは、歯の健康を保つために十分なフッ素が得られないからなのです。

 

世界的に見ると、体に十分なフッ素を摂取するために、水道の水の中にフッ素を入れるなどの対策を行なっている国もありますが、日本ではそういったことは行われていません。そのため、歯を虫歯から守るために、積極的にフッ素を使用した製品を歯に直接使用することが推奨されているのです。

 

1-3 歯に使用する「フッ化ナトリウム」の安全性

 

「フッ素が危険」と言われる背景として、フッ素単体では危険な物質だということがあるようです。ですが、自然界ではフッ素単体では存在できずにフッ化物となっていますし、歯磨き粉やフッ素塗布に使用される「フッ化ナトリウム」に関しては、フッ化物の中でも安定し、安全性が高いものであるため、使用量、使い方を守れば人体に毒性や悪影響を及ぼすことはありません。

 

1-4 フッ素は正しく使えば体に安全

 

歯磨き粉やフッ素塗布に使われるフッ化物が安全であるとは言え、もちろんどんなものでもそうであるように、使いすぎは体に毒となります。それゆえ、使う量や濃度、使用方法は歯科医の指導のもと行う必要があります。

 

歯磨き粉に関しては、使用されているフッ化物は低濃度に抑えられているため、チューブ1本丸ごと飲み込むなど、よっぽど大量に飲み込むなどしなければ、中毒などといった問題が起こることはありません。また、歯磨き粉にしても、フッ素塗布にしても、歯に塗った後はほとんど吐き出しますので、体内に取り込まれる量はごく微量です。

 

2.フッ素塗布が推奨されている3つの理由と期待される効果

 

2.フッ素塗布が推奨されている3つの理由と期待される効果

 

フッ素塗布がお子さんに勧められる理由、そしてフッ素塗布によって期待できる効果として、次の3つが挙げられます。

 

2-1 歯の再石灰化促進

初期虫歯を治してくれる!

 

歯の表面のエナメル質は、実は、飲食するたびに虫歯菌によって作られた酸によって歯のミネラル成分が溶けだす「脱灰(だっかい)」と、その後、唾液中のミネラルがそこに沈着する「再石灰化(さいせっかいか)」を繰り返しています。

 

両者のバランスが整っていれば、虫歯になることはありません。ですが、このバランスが崩れ、脱灰が多くなると、虫歯ができてしまいます。フッ素にはこの再石灰化を助ける働きがあり、ミネラルが多く失われた状態である「初期虫歯」の状態を修復し、治してくれる可能性があります。

 

2-2 歯質強化

歯を強くする!

乳歯や生えたての永久歯は、歯の表面のエナメル質が弱く、虫歯菌が作る酸に溶かされやすく、虫歯になりやすい傾向があります。

このような歯が弱い時期に積極的にフッ素を使用することで、フッ素がエナメル質の結晶構造に取り込まれ、酸に強い「フルオロアパタイト」を作り出し、虫歯菌が作り出す酸から効果的に歯を守ってくれます。

 

2-3 抗菌作用

虫歯菌の活動を弱らせる!

フッ素には、虫歯菌の活動を弱らせてくれる抗菌作用があります。具体的には、虫歯菌が糖を分解する際に必要な酵素の働きを抑えることで、虫歯菌が酸を生み出せないようにします。酸ができなければ歯が溶かされることはありませんので、虫歯のリスクがグンと減るわけです。

 

3.フッ素塗布にかかる費用

 

3.フッ素塗布にかかる費用

 

3-1 フッ素塗布は基本的には自費診療

 

フッ素塗布は、虫歯予防の目的で健康な歯に行う場合、病気に対する「治療」ではなく「予防」という扱いとなるため、保険が適用されず、自費診療となります。

 

自費診療の場合、各医院によって料金設定が異なるため、事前に歯科医院に電話をし、料金を確認しておくのが良いでしょう。

 

一般的な目安としては、500円〜3000円の範囲が多いようですが、各医院により塗布の方法にも違いがありますので、こちらも事前に確認しておくことをお勧めします。また、自治体によってはフッ素塗布に補助が出るところもあるようですので、そちらも確認しておきましょう。

 

3-2 保険が適用になる場合も

 

例外的にフッ素塗布に保険が適用になる場合もあります。

 

具体的には、13歳未満で虫歯がたくさんあり、虫歯予防の指導を継続的に受けている場合、保険を適用してフッ素塗布を行うことが可能です。条件となる虫歯の本数は年齢によっても異なります。

<フッ素塗布に保険が適用される虫歯の本数>
・0歳~4歳:乳歯が1本以上
・5歳~7歳:乳歯が3本以上および永久歯が1本以上
・8歳~10歳:永久歯が2本以上
・11歳~12歳:永久歯が3本以上

4.歯磨き粉のフッ素だけじゃ不十分?歯医者でもフッ素塗布をしたほうがいいの?

 

4-1 お子さんにはフッ素塗布の併用がオススメ

 

現在、歯磨き粉のほとんどに虫歯予防目的のためにフッ素が配合されています。そのため、歯医者でのフッ素塗布は必要なのか、疑問に思われる方もいると思います。実は、歯磨き粉に含まれるフッ素濃度と、歯科医院で行うフッ素塗布の濃度というのは大きく違います。ご家庭で使う歯磨き粉にはフッ素は、安全性の面から、フッ素がごく微量に抑えられており、それなりの効果はあるのですが、虫歯リスクの高いお子さんにとっては虫歯予防効果が不十分である可能性があります。

 

そのため、歯科医院での定期的なフッ素塗布(3ヶ月ごとが推奨)をお勧めします。

 

4-2 フッ素塗布をした方がいい年齢は?

 

フッ素塗布が勧められる年齢は、1歳くらいから永久歯が生え終わってある程度歯が強くなる15歳くらいまでです。もちろん、子どもだけでなく、大人の方でも虫歯リスクの高い方には虫歯予防効果アップが期待できるので、オススメです。

 

5.まとめ

 

フッ素は世界的にも虫歯予防に効果が認められており、フッ素が虫歯予防に応用され始めてから、虫歯にかかる人が激減しました。フッ素の危険性などについて耳にすると、お子さんへの使用をためらってしまう方もいると思いますが、歯磨き粉や歯科医院での塗布で正しく使用する場合、危険が伴うことはありません。

 

虫歯ができても治療はできますが、本当の意味で元通りになることはないので、できれば虫歯にならないように予防するのがベストです。お子さんが将来にわたって、健康な歯を維持できるようにするためにもフッ素をうまく活用していきましょう。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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