その頭痛、もしかして親知らずが原因かも? 親知らずと頭痛の深い関係と対処法・予防法について

- 「最近謎の頭痛が続いている・・」
- 「偏頭痛で痛み止めが手放せない・・」
- 「顔面の痛みが続いている・・」
こういった症状でお悩みではありませんか?
頭痛にはさまざまな原因がありますが、意外な原因として親知らずが関わっていることがあります。もし親知らずが頭痛の原因になっている場合、このような親知らずを放置してしまうとずっと頭痛が続くことにもなりかねません。
そこで今回は、親知らずが引き起こす頭痛のメカニズムとその原因、対処法、そして予防のポイントについて解説していきます。
なかなか落ち着かない原因不明の頭痛でお悩みの方、親知らずが生えている、もしくは埋まっている親知らずがある、という方はぜひ今回の内容を参考にしてみてください。
1.親知らずによる頭痛のメカニズム
1-1親知らずとは
親知らずとは、成人に近くなってから生えてくる、三番目の大臼歯(奥歯)のことで、前から数えると8番目に当たる歯です。
親知らずは人によって生え方がさまざまで、生える場所が十分になく、きちんと生え切らずに中途半端な状態で止まってしまったり、斜めや横向きに生えてきたりなど、他の歯とは違ってトラブルメーカーとなりやすい歯として知られています。
1-2親知らずが頭痛を引き起こすメカニズム
親知らずが問題を起こしやすい歯であるとはいっても、他の歯と同様、まっすぐに生えていて、お手入れが行き届いている親知らずの場合にはそれほど問題を起こすことはありません。
ところが、異常な位置にある、もしくは異常な生え方をしている場合、周囲の歯やあごの骨、神経などに炎症を起こしたり、力の負担をかけたりしやすいため、その影響により、頭やこめかみ、首筋などに痛みが広がってしまうことがあります。
とくに、あごの周りには頭部へつながる神経が集中しているため、親知らずによって刺激を受けることにより、それが頭痛として感じられることも珍しくありません。
2.親知らずによる頭痛の原因とは?

具体的には、親知らずが次のような状態になると頭痛を引き起こす原因となります。
2-1骨に埋まった親知らずの圧迫
骨の中に横向きに埋まっている親知らずは、手前の歯やあごの骨の中の神経を圧迫し、痛みを引き起こすことがあります。
2-2智歯周囲炎(親知らず周囲の炎症)
特に親知らずに歯茎がかぶっている場合、歯茎に炎症を起こしやすく、その炎症があごにまで広がって強い炎症状態を引き起こし、頭痛や発熱、リンパ節の腫れなどを起こすことがあります。
2-3親知らずのむし歯が原因で起こる副鼻腔炎
親知らずはかなり奥の位置にあるため、歯ブラシが届きにくく、汚れが蓄積してむし歯になってしまうことも少なくありません。
むし歯が放置され、深部に進行してしまうと、神経が腐って骨にまで細菌感染を起こします。そして、その上の方に位置している副鼻腔にまで感染が広がって副鼻腔炎を引き起こすと、顔面痛や頭痛の原因になることがあります。
2-4親知らずが原因で起こる顎関節症
親知らずの生え方によってはかみ合わせがずれてしまい、ものをかむ際に顎関節や筋肉に負担をかけてしまうことで緊張性の頭痛を生じることがあります。
2-5親知らずのストレスが原因で起こる歯ぎしり
親知らずが生えてくる際に押される感覚や、持続的な鈍痛を感じることがあり、それがストレスとなって無意識に噛みしめや歯ぎしりを引き起こすことがあります。
こういった行為は側頭筋を含むあごの筋肉を過度に緊張させてしまいますので、慢性的な頭痛の原因ともなり得ます。
3.親知らずによる頭痛の対処法は?

原因不明の頭痛に悩まされている場合、その頭痛の原因はひょっとすると親知らずが関係しているかもしれません。親知らずが関係しているかどうかは歯科医院で検査をするとわかりますので、気になる人は一度歯科を受診して状態を確認してもらいましょう。
歯科医院では親知らずの状態を確認するために、レントゲン撮影や、必要に応じてCT撮影を行います。
検査の結果、その状態に応じて次のような対処法があります。
3-1投薬
炎症が強く痛みがひどい場合には、ひとまず痛み止めを出して辛い症状を和らげることもあります。
また、細菌感染が原因となっている場合には、それ以上感染が広がらないよう、抗生剤の薬で細菌感染に対処する必要があります。
3-2抜歯
頭痛の原因が親知らずであると判明した場合、抜歯を検討します。
ただし、親知らず自体やその周囲の組織の炎症が強い場合にはすぐに抜歯することはできないため、一旦抗生剤で感染の状態をやわらげてから後日抜歯を行います。
3-3マウスピースによる負担軽減
親知らずが生えるストレスで歯ぎしりを起こし、それが原因となって頭痛を起こしている場合には、歯ぎしりによるあごの負担を緩和するために、眠っている間にマウスピースを装着するという方法が効果的な場合もあります。
3-4自分でできる対処法
歯医者に行く前に自分でできる対処法としては、
- ひとまず痛み止めで対処する
- 患部を冷やす
- やわらかいものを食べる
- 患部を刺激しない
- 口内の清潔を保つ
- 安静にする
といったことがあります。
痛みが辛い場合には市販の痛み止めを飲む、ということも一時的にはやむを得ないですが、原因が親知らずである場合、やみくもに痛み止めを飲み続ける、ということはおすすめしません。
原因を解決せずに痛み止めだけ飲み続けても問題は解決しませんし、胃腸障害などの副作用や、依存症を引き起こす危険性もあるからです。
また、親知らずに感染症を引き起こしている場合には、感染が広がって全身的な問題となる恐れもあります。
4.頭痛を未然に防ぐ方法はある?
親知らずによる頭痛を防ぐためには、普段から定期検診を受けて歯科医師に親知らずを含め、歯の健康状態を定期的にチェックしてもらうのが効果的、かつ最良の予防法です。
トラブルを起こしそうな親知らずの状態というのは、歯科医師ならば見ればわかりますので、何か問題が起こってからではなく、定期的に状態をチェックしてもらい、危険な状態を招きそうな状況があるならば、予防的に対処してもらうのが一番です。
また、親知らずがお口の中にある人は、意識して親知らずを丁寧に歯磨きして清潔を保つだけでも、そして、生え方が普通でない場合、早めに抜歯しておく、ということを心がけるだけでも、親知らずのトラブル、またそれによって起こる頭痛も未然に予防しやすくなるでしょう。
5.まとめ
親知らずが引き起こす問題は、歯だけ、もしくはその周囲だけの問題だと思われがちですが、実は頭痛の原因となっていることも少なくありません。
ですが、頭痛が親知らずによって起こっているかどうか、というのは、自己判断では難しく、また、もしも親知らずが原因で頭痛が起こっている場合には、単なる片頭痛の場合とは違って、休息や安静などでの改善は難しいです。
もしも慢性的な原因不明の頭痛があり、その原因が少しでも親知らずと関係しているかもしれないと思われる場合には、重症化する前に一度早めに歯科医院を受診し、専門家の診断を受けるようにしましょう。
歯科では、レントゲンやCTなどの検査により、状態を正確に把握し、頭痛の原因が親知らずであるかどうかの診断が可能です。
もしも親知らずが頭痛の原因と考えられる場合には、歯科医師とよく相談し、抜歯の可能性も含め、適切な治療を受けるようにしましょう。
この記事の監修者
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