インプラント術後の痛みはいつまで続く?原因やピーク時の痛みの程度、痛み対策についても解説!

インプラント治療について多くの人が一番気になることはやはり、「痛み」かもしれません。
インプラント治療は失った歯の代わりに人工歯根をあごの骨に埋め込むという「手術」が欠かせないため、手術に伴う痛みがどのくらい出るのか、どのくらい続くか、というのは、とても気がかりになるポイントです。
実際、手術をする限り、「痛みを完全に避ける」というのは難しいかもしれませんが、いろいろと対策法はあり、痛みを極力和らげることは可能です。
そこで今回は、インプラント術後の痛みの原因、インプラント術後の痛みはどのくらい続くのか、ピーク時の痛みはどのくらいなのか、インプラント術後の痛み対策法といったことについて、歯科医師が分かりやすく解説していきます。
インプラントの手術の痛みに対する不安というのは、あまりよく知らないゆえに起こることが多いものです。
今回の内容を見ることで、痛みの原因や対策法が分かり、多くの不安が解消されていくと思いますので、インプラントの痛みに対して心配や不安を感じている方はぜひ参考にしてみてくださいね。
1.インプラント術後の痛みについて
インプラント手術では、歯茎を切開し、骨を削るという工程が必要になります。
それは体にとって「傷口を作る」ということになりますので、手術中は麻酔のおかげで大丈夫であっても、麻酔が切れると痛みは出てきます。
この痛み自体は、体が傷口を修復しようとして起こる正常な反応ですので心配は要りません。
実際に現れる痛みの程度は、個人の感受性、インプラントを埋め込む本数、骨を増やす手術をしたかどうか、などによっても異なります。
ですが、ほとんどの場合は処方された痛み止めを飲んでいただくことでコントロールが可能で、強い痛みに苦しむ、というようなことはほとんどありません。
2.インプラント術後の痛みの原因とは?

インプラント術後に痛みが出る主な理由にはいくつかあります。
くわしく見ていきましょう。
2-1傷口を治癒させるための炎症反応
これがメインの原因となるものです。
インプラントを埋めるために歯茎を切開し、骨を削る過程で傷ついた組織を、体は修復しようと炎症反応を起こします。その炎症反応で発痛物質が放出されるため、私たちは痛みとして感じてしまいます。
2-2インプラントによる骨への圧迫
あごの骨にインプラントを埋め込む際、外れてこないように圧をかけて骨にしっかりと食い込ませます。この圧も痛みの原因となることがあります。
2-3術後の腫れや内出血による神経の圧迫
傷ついた組織を修復するのは、血液成分です。修復反応が起こっている時は、血管から血液成分が多く漏れ出し、結果として「腫れ」が起こります。その「腫れ」が大きいと、周囲にある神経を圧迫してしまうため、痛みとなって感じてしまいます。
手術する範囲が広いほどそれだけ腫れも強くなりやすいため、痛みもそれに伴って感じやすくなります。そのため、インプラントを埋め込む本数が多かったり、骨を増やす手術を行ったりした場合には、それだけ痛みの程度も強くなる傾向があります。
2-4術後の感染によるもの
口内の衛生状態が悪いなどの理由で細菌感染を起こしてしまった場合、感染による炎症が引き起こされて痛みがさらに出てくることがあります。
3.インプラント術後の痛みはいつまで続くの?
3-1通常は2~3日後をピークにその後は落ち着く
インプラント術後の痛みには個人差はありますが、通常、順調に治っていく場合は、術後2~3日が痛みのピークで、その後は徐々に痛みは治まっていき、1~2週間もすれば気にならない程度になることがほとんどです。
3-2注意が必要な痛みの場合
上のような経過をたどらず、次のようなケースに当てはまる場合には、感染や何等かのトラブルが起こっている可能性がありますので、次回の受診の予約を待たずに歯科医師に連絡しましょう。
◆ズキズキと痛みが増して痛み止めが効かない
インプラント術後の痛みは、通常は痛み止めでコントロールができる範囲のものです。しかし、それが効かない強いズキズキとした痛みが日を追うごとに増してくるような場合には、「拒否反応を起こしている」、「異常な強い炎症が起こっている」、「傷口の中で血腫ができて圧力がかかっている」、といったことが疑われます。
◆1週間以上経っても痛みが引く気配がない
1週間くらいすると、通常ならば痛みの程度はかなり落ち着いてくるものですが、痛みが引く気配がなく、むしろ強くなってくるような場合、細菌感染の可能性が疑われます。
このような場合には歯茎が赤く腫れあがる、膿が出る、嫌なニオイや味がする、といった症状も見られます。
◆下唇やあごにしびれを伴う痛みがある
下あごにインプラントを埋めた場合、下あごの内部に走っている大きな神経が圧迫されて痛みが出ることがあります。特に骨の厚みが少なく、神経までの距離が少ない場合にはこのようなことが起きやすくなります。
神経が圧迫される場合、しびれや麻痺、ピリピリするといった症状もその周辺に現れることが多いです。
4.ピーク時はどれくらい痛い?
インプラント術後の痛みを一番強く感じる「痛みのピーク」は、手術後の麻酔が切れた後から翌日です。この時の痛みはよく、「抜歯をした後の痛み」程度と例えられます。
もちろん、インプラントを埋める本数が多かったり、骨を増やす手術を同時に行ったりした場合には、それだけ傷口が大きくなりますので、より痛みを感じやすくはなるでしょう。
ですが、一般的には、このような痛みであっても痛み止めでやわらげられるケースがほとんどですので、過度に心配する必要はありません。
5.インプラント術後の痛み対策法

インプラント術後の痛みは、術後のケアの仕方や日中の過ごし方、薬の摂り方などによっても大きく違ってきます。
痛みをなるべく出さないようにするためには、次のようなことを意識して行うとよいでしょう。
5-1麻酔が切れる前に痛み止めを服用しておく
通常、術後の痛みが最も強く出るのは麻酔が切れる時です。痛み止めは痛みが出てから飲んでもよいのですが、一旦強い痛みが出てからだと痛み止めが効くまでに辛い思いをしやすいため、麻酔が切れる前に飲んでおくことをおすすめします。タイミングに関しては歯科医師に確認しましょう。
5-2口内の清潔を保つ
口内が不潔な状態になると細菌感染を起こしやすくなるため、処方された洗口剤も使いながら歯科医師の指示通りに口内の清潔を保ちましょう。
5-3飲酒、喫煙、激しい運動、入浴を避ける
術後日が浅いうちは、飲酒や激しい運動、湯船に浸かるといった血行が良くなりすぎる行為は控えましょう。喫煙は傷口の治りを悪くし、インプラント周囲の細菌感染のリスクを高めるため、控えるようにしてください。
5-4患部を触らない
指や舌でインプラント部を触れることで傷口の治りを妨げ、細菌感染を起こす元にもなりますので控えるようにしてください。
5-5処方された薬を指示通りに使用する
術後に処方される、細菌感染予防のための抗生剤の薬、口内の殺菌作用のある洗口剤は指示通りに使用するようにしましょう。
6.まとめ
インプラント術後の痛みは、ほとんどの場合はそれほど長く続くということはなく、痛みの程度にしても痛み止めでコントロールが可能な範囲です。
痛みの程度、持続期間には個人差がありますが、術後の注意事項を守り、口内の清潔を保つ、手術部位を必要以上に触らない、といったことを守れば、通常であれば徐々に落ち着いていきます。
ただし、「痛みの程度が強すぎる」、「長引く」、「異常な感覚がある」、といった場合には様子を見ずに早めに歯科医師に確認してもらうようにしてください。
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