口内炎ができやすい、繰り返す場合、病気が原因なの?

口内炎ができやすい、繰り返す場合、病気が原因なの?
口内炎ができると、喋ったり食事をしたりするたびに強く痛むので、気分も沈みがちになりますよね。また、一度できてしまうと何日も痛みが続き、しかも周囲にも理解してもらいにくいのが口内炎の辛いところ

 

口内炎は、疲れた時など、誰でも経験するものですが、通常だとたまにできる程度で、それほど頻繁に起こるものではありません。ところが、口内炎ができやすい、頻繁にできる、治りにくい、というような場合もあり、このようなケースに関しては、なんらかの病気が関係している可能性があります。

 

今回は口内炎ができやすい、治りにくい場合に考えられる原因、についてご紹介します。

 

1.口内炎が常にできやすい、できても治りにくいときは何かの病気が考えられる?

 

1.口内炎が常にできやすい、できても治りにくいときは何かの病気が考えられる?

 

口内炎がよくできる、もしくは、できても治りにくい、というような場合、次のような原因が考えられます。

 

1-1 不正咬合

 

これは、いわゆる「歯並びが悪い」状態です。八重歯など、歯並びから外れている歯がある場合、歯の尖った部分が口腔粘膜を傷つけてしまったり、うっかり粘膜を噛んでしまったりしやすくなります。そして、その部分に細菌感染が起こると、口内炎ができてしまいます。

 

1-2 合わない入れ歯、人工物が入っている

 

合わない入れ歯を使い続けていたり、合わない詰め物や被せ物があったりすると、粘膜に擦れる、頬の内側を噛んでしまうといったことが起こりやすくなります。その結果、口内炎が常にできてしまいやすく、そして刺激を取り除かない限り、なかなか治りにくいということになってしまいます。

 

1-3 病気が原因の場合

 

1-3-1 自己免疫疾患

 

自己免疫疾患の一種であるベーチェット病は、アフタ性口内炎、外陰部潰瘍、目の症状、皮膚症状を主症状とする病気で、再発、寛解を繰り返すのが特徴です。10代後半から40歳くらいまでに多く、30代前半の人に特に多く見られます。日本においては、2020年3月の段階で、約1万5000人が罹患していると報告されています。

 

この病気の初期症状として口内炎が見られることが多く、口内のいたる部分の粘膜に円形で境界がはっきりとした潰瘍が見られるのが特徴です。

 

また、このほかにも、シェーグレン症候群、バセドウ病、関節リウマチといった病気でも、口内炎を繰り返す症状が起こることがあります。

 

1-3-2 糖尿病

 

糖尿病は、予備軍も含めると日本においては5人に1人がかかっていると言われているありふれた現代病です。糖尿病にかかると様々な合併症が起こり、免疫も下がってしまいます。そのため、初期症状として口内炎を繰り返す症状が現れる場合があります。

 

1-3-3 ウイルス性疾患などの感染症

 

単純ヘルペスウイルス感染、手足口病、ヘルパンギーナといった、子供に起こりやすいウイルス感染症による口内炎、また、カビの一種であるカンジダ菌が原因となって乳幼児や高齢者に起こりやすいカンジダ性口内炎というものや、性行為感染症によるウイルス口内炎や、エイズの初期症状として現れることもあります。

 

1-3-4 口腔がん

 

通常の口内炎であれば1〜2週間もすれば自然に治りますが、いつまで経っても治らない場合、口腔がんであるというケースもあります。口腔がんの原因としては、喫煙、飲酒、お口の中の物理的な刺激の持続や、熱いもの、辛いものなどによる刺激といったものが考えられています。

 

2.口内炎と間違いやすい!口腔がんの見分け方

 

口の中の粘膜にできる口腔がん(舌がん、歯肉がん)は、見た目が口内炎に似ていることから、口内炎だと思われて見過ごされてしまうことがあります。しかし、がんというものは放置すると進行し、命に関わることもあるので、口内炎との見分け方を知っておくことはとても大事です。

 

口内炎の場合、境界がはっきりしているのが特徴で、小さなものであっても、食べたり喋ったりするたびに接触すると痛い、食べ物がしみる、何もしなくても痛い、といった痛みの症状が強いですが、普通は10日前後で自然治癒します。一方、口腔がんの場合には、見た目が口内炎と似ているものの、次のような点において口内炎と違いがあります。

 

・小さいうちは痛みを感じない
・進行するとしこりが出てくる
・境界が曖昧ではっきりしない
・出血することがある
・白、赤の斑点があり、でこぼこしている
・2週間以上経っても治らない

 

また、口内炎の場合は、お口の粘膜のどこにでもできますが、口腔がんの場合には舌にできるケースが半数以上と多く、特に舌の縁にできる傾向があります。

 

口腔がんは早期に対処するほど治りやすいため、早期発見が大切です。幸い、口の中は他の臓器とは違い、目で見えるところなので、歯磨きの際に時々チェックしておくとよいでしょう。

 

3.歯並びが悪くなく、病気も持っていないのに口内炎ができやすいことはある?

 

3.歯並びが悪くなく、病気も持っていないのに口内炎ができやすいことはある?

 

歯並びに問題がなく、病気もないのに口内炎ができやすい、治りにくい、という場合には、次のようなことが原因になっている可能性があります。

 

3-1 ストレス・睡眠不足・疲労

 

ストレスや睡眠不足、疲労が溜まった状態になると、免疫が低下してしまいます。また、ストレス状態というのは、唾液の分泌も落ちてしまうため、お口の粘膜を保護する唾液が少なくなることで、お口の中が傷つきやすくなってしまい、結果として口内炎ができやすくなります。

 

心当たりのある人は、なるべく体を休めて、意識してリラックスする時間をとるようにしましょう。

 

3-2 栄養不足

 

栄養不足、特にビタミンB2が不足した状態になると、皮膚トラブルや口内炎ができやすくなることがわかっています。外食やコンビニ弁当などが多い人は要注意です。サプリメントなどでビタミンを補う方法も一時的には悪くはありませんが、根本的には食生活を改善するようにしましょう。

 

3-3 アレルギー

 

食物アレルギーや歯科金属アレルギーなどによっても口内炎ができる可能性があります。特定のものを食べると口内炎ができる、もしくは金属アレルギーのある人は、一度アレルギーテストを受けてみることをおすすめします。

 

3-4 唾液の減少

 

ストレスや喫煙などは唾液の分泌を抑制してしまいます。また、薬によっては副作用として唾液の分泌を抑えてしまうものがあります。唾液が減るとお口の粘膜に傷がつきやすくなり、そこに細菌感染が起こると口内炎が起こる原因となります。

 

お口が乾き気味の人は、原因を一つ一つ探ってみて、改善しない場合は医師、または歯科医師に相談してみましょう。

 

3-5 妊娠

 

妊娠すると、女性ホルモンの急激な増加により、唾液の性質が変化するといった体質の変化が起こります。また、つわりで歯磨きができないことによるお口の不衛生、免疫力の低下、そして特定の食べ物ばかり食べてしまうなど、食生活の乱れも起こりやすくなることも重なって、口内炎ができやすくなります。

 

3-6 歯磨き粉の成分が合わない

 

多くの歯磨き粉に含まれるラウリル硫酸ナトリウムという泡立ち成分(界面活性剤)が粘膜を荒らしてしまい、口内炎の原因になることがあります。またラウリル硫酸ナトリウムは、味蕾細胞を傷つけることで味覚障害を引き起こす可能性も指摘されています。もし心当たりがあるようであれば、成分表示を確認して、ラウリル硫酸ナトリウムの入っていないものを選んでみるとよいでしょう。

 

4.まとめ

 

口内炎が繰り返しできる人は、「体質だから」と慣れてしまっているかもしれません。単発でできる大抵の口内炎というのは確かに心配のいらないものが多いですが、頻繁にできる、繰り返しできる、大量にできる、なかなか治らない、というような場合には、何らかの病気のサインである可能性が出てきますので、ためらわずに歯科医院を受診することをおすすめします。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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