唇に口内炎ができる原因と治し方

口内炎が唇にできてしまうと、食べるとしみるし、話す時に歯に触れると痛いしで気分も落ちてしまいますよね。
口内炎は小さくても鋭い痛みを感じてしまうため、とくに繰り返しできる人は「なぜこんなところにできてしまうのだろう?」と疑問に思ってしまうことでしょう。
実は唇に口内炎ができてしまう背景には、ちょっとした生活習慣や食生活、体調の変化といったものが関わっていることが多いものです。そしてそこに何らかの刺激やストレスが加わると一気に口内炎が起こりやすくなります。
つまり、唇は歯に直接触れている部分でもあり、刺激を受けやすい部分なので口内炎のリスクは高いと言えるのです。
そこで今回は、唇に口内炎ができる原因と、唇にできる口内炎の効果的な治し方と対処法について解説していきます。
歯医者を受診したほうが良い目安についてもご紹介していきますので、唇の口内炎に悩まされている方はぜひ今回の内容を参考にしてみてください。
1.唇に口内炎ができる原因
口内炎は、厳密にいうといくつかのタイプに分けられますが、そのほとんどは「アフタ性口内炎」と呼ばれるものです。
唇にアフタ性口内炎ができる原因としては、次のようなものが関係しています。なお、通常はこの中のいくつかの要因が重なることでアフタ性口内炎の発症につながります。
1-1物理的な刺激
唇を噛んでしまった、歯ブラシなどで唇の内側を傷つけてしまった、といった場合や、歯並びが悪くて傾いた歯が唇に当たっている、欠けた歯が唇を刺激している、もしくは歯の表側に矯正器具が固定されていて唇に擦れてしまう、といったような、唇に常に刺激が加わる状況によって唇に傷がつき、そこから口内炎ができることがあります。
1-2免疫力低下
睡眠不足、疲労、不規則な生活やストレスなどによって免疫力が低下すると、粘膜が炎症を起こしやすくなりますので、口内炎ができやすくなったり、繰り返しできたりすることがあります。
1-3栄養の偏り
偏った食生活によりビタミンB群(特にB2、B6、B12 )、鉄、葉酸などが不足すると、傷ついた粘膜の修復がうまくいかなくなり、口内炎を発症しやすくなります。
1-4口内の不衛生
口内の衛生状態が良くなく、細菌が多い状況では、口内の傷ついた部分に細菌感染を起こしやすくなり、口内炎のリスクもそれだけ高まります。
1-5ホルモンバランスの変化
女性の場合、月経周期によって口内炎ができやすくなることがあります。月経前にエストロゲンが減ると、粘膜が弱くなって炎症を起こしやすくなるからです。
1-6金属などに対するアレルギー
歯科金属がアレルギーを起こし、口内炎の原因になることもあると言われています。金属アレルギーのある人が矯正治療で歯の表面に装着するブラケットを金属にした場合、それが口内炎を引き起こす原因ともなり得ます。
1-7唾液の減少
唾液の働きとして、「粘膜を保護する」というものがありますが、何らかのきっかけで(ストレス、加齢、薬の副作用、口呼吸など)口内を満たす唾液が減り、粘膜が乾いた状態になると、粘膜が傷つきやすい状態となり、口内炎ができやすくなります。
1-8歯磨き粉の成分が合わない
口内炎が頻繁にできる人の中には、実は歯磨き粉に含まれる界面活性剤が合わずに炎症を起こしていることがあると報告されています。
1-9遺伝的な体質
家族的な遺伝的傾向で口内炎ができやすい体質があるとも言われています。
2.唇にできる口内炎の効果的な治し方と対処法
唇の口内炎は、基本的に放置していても自然と治るものですが、辛い症状はできるだけ早く解消したいですよね。
唇の口内炎は、原因や症状に応じ、効果的な治し方や対処法が異なります。
一般的に歯科で行われている治療法に加え、上で挙げた原因への対処法をご紹介しましょう。
2-1塗り薬
口内炎に対して広く一般的に行われているのは、塗り薬の処方です。塗り薬を患部塗ることで、痛い部分を保護すると同時に、炎症を抑えて痛みを感じにくくします。
口内炎が重症の場合や、細菌感染の程度が強い場合には、飲み薬としてビタミン剤や抗生剤などが処方されることもあります。
2-2レーザー照射
レーザーで口内炎の表面の粘膜を凝固させて痛みを取り除くという方法もあります。
2-3口内を清潔な状態に保つ
口内炎を早く治癒に向かわせるためには、口内をできるだけ清潔に保つことが大事です。殺菌効果のあるうがい薬を使ってうがいするとより効果が期待できるでしょう。
2-4 刺激源を取り除く
むし歯などにより歯が欠けていて唇を刺激している場合には、その部分を治療することが大事です。
八重歯など、歯並びが悪くて歯が唇の粘膜を傷つけてしまっている場合には、矯正治療をすることで問題解決につながるでしょう。
2-5 健康的な生活を心がける
ストレスや疲れ、睡眠不足など、免疫を落とすような原因が思い当たる人は、まずはそれに対して改善していくようにしましょう。
また、食事に関しても、栄養のバランスが取れた食事を摂るように心がけていきましょう。
2-6ブラケットにワックスをつける
ワイヤー矯正をしている場合、どうしても装置が唇の裏に触れるので、触れる部分に口内炎ができるということはある程度避けられない部分もあります。
もし口内炎の部分が矯正装置に擦れて痛くてつらい、という場合には、歯科医院でワックスをもらい、装置の表面につけることで接触する際の痛みを緩和できます。
2-7 ブラケットを金属でないものに替えてみる
原因として金属アレルギーが疑われる場合には、金属ブラケットをセラミックブラケットに替えることでアレルギー症状が落ち着く可能性があります。
2-8歯みがき粉を替えてみる
特に唇を刺激するものもなく、明らかな原因がわからない、という場合には、現在使っている歯磨き粉を違うものに替えてみる、というのも一つの方法です。
多くの歯磨き粉には界面活性剤(泡立ち成分)として、ラウリル硫酸ナトリウムというものが含まれており、この成分は刺激が強めで口内炎を引き起こすことがあるとされているため、この成分を含まないものを選んでみるとよいでしょう。
3.歯医者を受診した方が良いケース
口内炎は、通常自然に治癒し、心配のいらないケースがほとんどですが、次のような場合には、本当に口内炎であるかどうかの診断、もしくは早めに症状を改善するために、一度歯科を受診することをおすすめします。
- 2週間経っても治らない場合
- 多数の口内炎が同時にできる場合
- 頻繁に再発を繰り返す場合
- 発熱、全身の倦怠感などの全身症状を伴う場合
- 強い痛みのために食事を摂るのが困難な場合
4.まとめ
唇は外部からの刺激が多い部分であることから、口内炎ができることは比較的多い場所です。
ですが、原因をある程度予測し、適切な対処と予防をすることで、口内炎による辛い症状を避けたり改善したりすることは可能です。
口内炎の予防としては、基本として、口内の清潔を保つ、睡眠をしっかりとる、栄養バランスの取れた食事をする、といったことが効果的です。
もしできてしまった場合には、なるべく患部を刺激しない、清潔を保つ、少しでもゆっくり休養するなどし、早めの回復を目指しましょう。
ただし、口内炎に似ていても、実は口内炎ではない場合もありますので、何か「おかしいな?」というような症状がみられる場合には早めに歯科医院を受診するようにしてください。
この記事の監修者

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