『抜歯しかない』と宣告された方へ|まだできることはある?大切な歯を残すためにできることとは?

そう告げられた時、多くの人は頭の中が真っ白になってしまうものです。
これまで自分とともにあった歯が失われるという宣告は、とても受け入れがたいものですよね。
実際に、「本当に抜くしかないのでしょうか」とご相談に来られる方は少なくありません。
まずお伝えしたいのは、「抜歯」という診断自体が間違いとは限らないということです。歯の状態によっては、無理に残すよりも抜歯を選択したほうが、お口全体の健康を考えると望ましい場合もあります。
ただし、すべてのケースが「すぐに抜歯しかない」と言い切れるわけでもありません。抜歯が必要かどうか、ということに関する診断基準は歯科医師によっても異なり、歯の状態によっては、もう少し検討できる余地があることもあります。
今回は、歯を抜くかどうかの判断をするうえで知っておいていただきたいポイント、歯を残すためにできることについてご紹介していきます。
1.抜歯と診断される4つの原因
抜歯と診断される場合の主な原因は次の4つです。
1-1重度のむし歯
むし歯が大きく進行し、歯根部分に達してしまっている場合、むし歯を取り除いてもその上にかぶせ物をすることが難しくなるため、抜歯という選択肢をとらざるを得なくなります。
1-2歯が割れている
歯が縦方向に割れてしまっている場合や、歯根部分にまで亀裂が入ってしまっている場合、過去の根の治療で歯根に穴が空いてしまっている場合、割れた部分から細菌感染を起こしてしまうことや、かぶせても安定させられないことから、抜歯となることが一般的です。
関連記事:歯が割れる、歯根破折の原因と治療法は?
1-3歯周病の進行
歯周病は、歯茎の炎症から始まり、歯を支えている骨が溶けて行ってしまう病気です。歯周病が進行すると、歯を支えている骨が大きく減少してしまうため、歯がぐらつき、噛めなくなってしまいます。また、その状態を放置することで、周囲の歯にも感染が広がってしまうため、抜歯が選択されることも少なくありません。
1-4根の治療が難しい場合
歯根の周りに大きな膿だまりができていて、根の治療で治すことができない場合、放置していると感染の拡大により周囲の歯や全身への影響が懸念されるため、安全性を考えて抜歯と診断されることが多いです。
また、差し歯の土台が大きく、根の治療に際して土台を取り除くことが困難な場合にも、「治療が不可能」ということで抜歯と判断されることもあります。
参考サイト:厚生労働省「歯の喪失の原因」
2.それでもすぐ抜かなくてもいいケースとは?

抜歯の診断基準は歯科医師によって違うことがあります。たとえば次のようなケースではたとえある歯科医師が「抜歯」と判断しても、場合によっては残す方向で治療が可能になることがあります。
2-1根の治療をやり直せる可能性
根の治療が可能かどうかの判断も歯科医師によって異なる場合があります。たとえ治療をしても無理だと診断される場合でも、技術や設備によってはやり直しができるケースもあります。
2-2外科的な方法で残せる場合
歯根の周囲に膿だまりができていて根の治療で治すのは難しいケース、歯根が割れていたり穴が空いていたりするケースでも、歯根端切除術、歯牙再植術、歯根分割術といった方法で歯を残せる場合があります。
2-3歯周病のコントロールが可能な場合
歯周病が進行しているケースでも、適切な治療とケアによって炎症を抑え、一定期間安定させられることがあります。
参考サイト:厚生労働省「歯周病の予防と治療」
3.「残す」ことだけにこだわらないことも大事
「大切な歯をなるべく長く残したい」、という気持ちもわかりますが、噛むことができないほど弱っている歯、周囲に感染があり、周囲の歯を巻き込むリスクのある歯や体の健康状態を悪化させる可能性のある歯、腫れを繰り返して苦痛を伴う歯をやみくもに残すことは、メリットがないだけでなく大きなデメリットをもたらすことにもなりかねません。
一般的に状態の悪い歯を残しておくと、その周囲の骨がどんどん溶かされてしまい、状況は悪化する一方で、放置することでその後の治療がより一層難しく、手間と時間、費用がかかる、ということにもなってしまいます。
そのため、このような歯に関してはその歯だけにこだわらず、他の歯や体を守るためにも潔く抜歯を選択する、ということも必要になってきます。
4.迷ったらセカンドオピニオンを受けるのも一つの選択肢

もし一つの歯科医院で「抜歯しかない」と言われてしまった場合、その歯科医院で治療を続けるならば、抜歯の方向で治療が進められることになります。
もしも抜歯の方針に納得がいかない、という場合には、他院でセカンドオピニオンを受けてみるというのも一つの方法です。
4-1セカンドオピニオンとは
セカンドオピニオンとは、病状に関する診断や治療方針について、他のドクターの意見を聞いてみることです。
「抜歯しかない」と言われても、その場ですぐに決断しなければならないわけではありません。歯の状態によっては、ドクターによって診断や治療の考え方について意見が分かれることもあるため、セカンドオピニオンを受けることで、より自分の納得いく治療方法を選べる可能性が出てきます。
4-2大切なのは「正解探し」ではなく納得
ここで重要なのは、「どちらの診断が正しいか」を決めることではありません。治療法に対する考え方はドクターに関しても、患者さんに関しても皆異なりますので、いくつかの意見を聞いたうえで、ご自身が納得できる選択肢をすることが何よりも大切です。
一人のドクターの意見を聞いて不安や迷いを抱えたまま治療に進むよりも、一度立ち止まって他の意見も聞いてみて、「やはり抜歯しかない」という結論に達することもあれば、「他の可能性があるかも」という希望が見えることもあります。
いずれにしても、セカンドオピニオンを受けることで、よりご自分にとって納得のいく決断ができるようになるでしょう。
4-3後悔のない選択のために
セカンドオピニオンを受けることは、担当医を疑っているようで気が引ける、と思う人もいるかもしれません。ですが、そのように思う必要はありません。
より良い選択肢を選択するためのステップとして、迷いがあるときには遠慮せず、別の意見を聞いてみることも検討してみてください。それが、ご自身にとって後悔しないための最良の選択につながっていきます。
5.まとめ
「抜歯しかない」と言われると、絶望的な気持ちになってしまうかもしれません。
ですが、それはあくまで一人の歯科医師の判断ですので、100%そうだと言えないこともあります。
他の歯科医師は違う判断をすることも大いにあり得ます。
そのため、その場で結論を出す必要はなく、一旦持ち帰り、セカンドオピニオンを検討する余地はあります。
ただし、その一方で、無理に歯を残すことが最善とは限らないのも事実です。歯を抜いてインプラントなどの治療をすることで、天然歯のようにしっかりと噛める状況を再現していくことも可能なのです。
大切なのは、現在の状態を正しく理解し、それぞれの選択肢のメリットとデメリット、将来的な影響も含めて知ったうえで、ご自身が納得できる判断をすることです。
もし迷われている場合には、一度別の視点から状態を確認してみることも選択肢のひとつ。そのうえで、現実的な方法をじっくりと考えていきましょう。
関連記事:歯を抜いたまま放置するとどうなるの?
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