インプラントと歯周病の関係。治療前に歯周病を治さなければいけない理由

インプラントと歯周病の関係。治療前に歯周病を治さなければいけない理由

「インプラントは人工の歯だから、むし歯にはならないしずっと持つだろう」
そう思っていらっしゃる患者さんは、実はとても多くいらっしゃいます。ですが、インプラントも歯周病によく似た病気にかかることがあるのをご存じでしょうか?

歯周病は歯を失う第一位の原因の病気。インプラントの場合も歯周病のような状態になってしまうと、インプラントが抜け落ちてしまう恐れがあるため、注意が必要です。

今回は、インプラントと歯周病の深い関係について、そしてなぜ治療前に歯周病をきちんと治しておく必要があるのかについて、できるだけわかりやすくお話しします。

 

1. インプラントの歯周病「インプラント周囲炎」とは?

1-1. インプラントはむし歯にはならない・・でも歯周病には注意!

インプラントの人工歯根はチタンなどでできているため、むし歯になることはありません。しかし、インプラントを支える歯茎や骨は、天然の歯と同じように細菌感染の影響を受けます。

もしインプラント周囲の歯みがきが行き届かず汚れがたまると、インプラントの周りの歯茎に炎症が起こります。これは、「インプラント周囲炎」と呼ばれるもので、天然歯の場合の歯周病とよく似た状態になります。

インプラント周囲炎については、日本歯周病学会が詳しくまとめていますのでぜひ目を通しておいてください。

参考サイト:日本歯周病学会監修「ペリオブック」 ページ:インプラントの歯周病「インプラント周囲炎」について日本歯周病学会が解説します!

 

1-2. 放置すると、インプラントを支える骨が溶けてしまうことも

インプラント周囲炎は主に二つの段階に分けられます。

まず、炎症が歯茎の粘膜だけにとどまっている段階を「インプラント周囲粘膜炎」、そこから炎症が進んでインプラントを支える骨にまで広がった状態を「インプラント周囲炎」と呼びます。

この状態が進行すると、骨が少しずつ失われ、最終的にはインプラントを支えることができなくなり、インプラントがぐらついたり、抜け落ちてしまったりすることもあります。

インプラント周囲炎は自覚症状が出にくいまま進行することも多いため、予防に励むこと、もしくはいかに早く気づいて対処するか、ということが非常に大事になってきます。

関連ページ:インプラント周囲炎はインプラントの歯周病|インプラントが歯周病になる原因と治療方法を解説

 

2. なぜ治療前に歯周病を治しておく必要があるの?

2. なぜ治療前に歯周病を治しておく必要があるの?

2-1. 歯周病菌がインプラント周囲炎のリスクとなるため

歯周病にかかっている歯を治療しないままインプラントを入れてしまうと、口内に歯周病菌が多く存在する状態となり、インプラントの周りにも広がる恐れがあります。

そのため、歯周病にかかっている歯をきちんと治療してからインプラントを埋入することが、その後のトラブルを防ぐ第一歩になります。

 

2-2. 歯茎や骨の土台が不安定だとインプラントの定着にも影響するため

インプラントは、あごの骨としっかり結合することで初めて機能します。歯周病によって歯茎や骨の状態が不安定なままでは、この結合がうまく進まなくなる恐れがあります。

 

2-3. お口の健康は、体全体の健康ともつながっているため

歯周病は、お口の健康を害してしまうだけにとどまらず、糖尿病をはじめとする全身疾患の原因になっていることが明らかになっています。

インプラント治療は外科手術を必要とし、全身の健康状態が大きく影響することから、インプラント治療を安心して受けるためにも歯周病をまず治療しておくことはとても大事な準備だと言えます。

厚生労働省の情報発信サイトでも、歯周病と糖尿病をはじめとする全身の健康との関連が紹介されています

参考サイト:厚生労働省 歯周病は万病のもと!?お口のケアで身体いつまでも若々しく
関連ページ:インプラント治療と糖尿病:リスクと注意点

 

3. 歯周病治療からインプラント治療までの流れ

3-1. まずは歯周病の検査とクリーニング

インプラントをご希望される場合、まずは歯周病の検査や歯石除去、歯みがき指導など、歯周病の基本的な治療を行います。

 

3-2. お口の状態が落ち着いてからインプラント治療へ

歯茎の炎症が治まり、状態が安定していることを確認したうえで、インプラント治療に取り掛かります。焦らずこの順番を守ることが、結果としてインプラントの長期的な安定につながります。

 

3-3. 継続した歯周病のケア

インプラントを入れたらすべて治療終了、というわけではありません。インプラント周囲炎は口内環境が悪化すると起こるリスクがありますので、インプラントを入れた後も定期的な歯茎の状態のチェックとクリーニングといったメンテナンスを続ける必要があります。

 

4. インプラントを長く快適に使っていただくために必要なこと

4. インプラントを長く快適に使っていただくために必要なこと

4-1. 毎日のセルフケアがいちばんの予防

インプラントの周りは天然の歯に比べて汚れがたまりやすい構造をしています。毎日の丁寧な歯みがきに加えて、フロスや歯間ブラシを取り入れることで、インプラント周囲炎の予防につながります。

 

4-2. 定期的なメンテナンスで、早めの発見・対応を

インプラント周囲炎は自覚症状が出にくいまま進行することがあるため、歯科医院での定期的な検診とメンテナンスがとても重要です。

レントゲンや歯茎の検査を通して、小さな変化のうちに気づいて対応することができ、インプラントを長く良い状態で使っていくことができます。

関連ページ:インプラントのメンテナンスとその費用について

 

5. こんな方は、事前のケア・対策がより重要になります

インプラントは正しい準備とケアを行えば、多くの方が安心して受けられる治療です。ただし、以下のような生活習慣やくせをお持ちの方は、歯周病治療とあわせて事前の対策も特に念入りに行うことをおすすめします。

 

5-1. 喫煙をされている方

タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、歯茎や骨への血流を悪くします。結果的に傷の治りが遅くなるだけでなく、歯周病やインプラント周囲炎のリスクを高め、インプラント治療を受ける上で大きなハンディとなり、インプラントが長持ちしなくなる恐れがあります。

インプラント治療を検討されている喫煙者の方は、事前に禁煙や節煙についてもご相談ください。

関連ページ:タバコはインプラントに不利?喫煙者がインプラントを検討する際に知っておくべきリスク

 

5-2. 歯ぎしり・食いしばりのくせがある方

歯ぎしりや食いしばりでインプラントに過度な力がかかると、骨との結合が壊れやすくなり、インプラント周囲炎のリスクも高まります。心当たりのある方は、マウスピース(ナイトガード)の使用などを検討する必要がありますので、事前に歯科医師相談しておきましょう。

 

6. まとめ

 

インプラントはむし歯にならないので油断しがちですが、歯周病とよく似た「インプラント周囲炎」になることがあり、それにきちんと対処しないとインプラントが抜け落ちてしまうことがあります。

インプラントを長持ちさせるためには、インプラント周囲のケアをとにかく丁寧に行うこと、そして、インプラント治療の前に他の歯に歯周病があるならば事前にしっかり治しておくということが大事です。

「歯をとにかく早く入れたい」という気持ちもわかりますが、インプラント治療を成功させて長く良い状態で使うためにも、まずはしっかりと口内の環境を整えておくようにしましょう。

「以前歯茎の治療を受けたことがある」という方も、まずは現在のお口の状態を確認するところから始めましょう。ご不安なことがあれば、どうぞお気軽に当院までご相談ください。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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