インビザラインは痛い? 痛みの原因と対処法について

矯正治療はある程度治療期間が長くかかる治療なので、痛みに耐えられるか気になってしまう人もいるかもしれません。
透明なマウスピースで歯並びを整えていくことができるインビザラインは、従来のワイヤー矯正の大きなデメリットであった矯正中の痛みを大きく軽減できるということも特徴の一つです。
ですが、やはり歯の位置を動かしていく段階で歯に負担はかかってしまうので、多少の痛みは出てしまうこともあります。
そこで今回は
・インビザライン矯正はどれくらい痛いのか
・インビザライン矯正中の痛みの原因
・インビザライン矯正時に痛みが出た時の対処法
について解説していきます。
1.インビザライン矯正はどれくらい痛い?
インビザライン矯正は、従来のワイヤー矯正と比べ矯正中の痛みが抑えられていることで知られていますが、全く痛みが出ないわけではありません。
インビザライン矯正で実際、どの程度の痛みが出るのか、見ていきましょう。
1-1ワイヤー矯正の痛みとの比較
◆ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、歯の1本1本の表面にブラケット と呼ばれる器具を固定し、その上から形状記憶ワイヤーを装着してワイヤーが元の形に戻ろうとする力で歯を動かしていく治療法です。
ワイヤー矯正の場合、新しいワイヤーを取り付けた後には歯に強い力がかかりやすいため、強い痛みを感じることもあり、当日、そして数日は固形物を噛みづらくなることも少なくありません。
またそれに加え、ブラケットとワイヤーが口内の粘膜に当たって粘膜が傷つくことがあり、そこから口内炎になって痛みを出すこともあります。
◆インビザライン矯正
インビザライン矯正は歯を全体的に覆うマウスピース型の矯正装置を使用し、定期的に次の段階のマウスピースを交換していくことで歯並びを整えていく矯正システムです。
インビザライン矯正では歯に負担をかけず効率的に歯を動かせるように設計されており、一つのマウスピースで動く歯の距離が最大0.25ミリに抑えられています。
そのため、急激に多くの力がかかることがなく、歯への負担が少ないので、痛みを少なくすることが可能です。
また、マウスピースの表面はなめらかで、ワイヤー矯正装置のようにゴツゴツしていないので、口の中が傷ついて痛みを起こすこともありません。
1-2インビザライン矯正で痛みを感じやすいタイミング
インビザライン矯正で痛みを感じやすいタイミングで多いのは、新しいマウスピースに付け替えた直後です。
インビザライン矯正は痛みが少なめとはいえ、やはり次の段階のマウスピースに交換した直後には、歯に力がかかりますので、圧迫されるような痛みを感じることがあります。
ですが、歯にかかる力は弱めですので、そのような圧迫される痛みを感じたとしても一時的で、インビザラインの場合は通常はそれほど痛みが長引くことはありません。
2.インビザライン矯正中の痛みの原因
インビザライン矯正中に痛みを感じる場合、次のようなことが主な原因になっています。
2-1歯や骨にかかる力
矯正治療とは歯に押す力や引っ張る力をかけて歯を動かしていく治療法です。
そのため、歯にはどうしても力がかかってしまいます。
歯を動かしたい方向に力をかけると、徐々に歯は動いていきますが、それは歯の周囲の骨に破壊と再生が行われることで可能になります。
また、歯は骨に直接埋まっているわけではなく、歯と骨の間には、歯根膜という靭帯がありますが、歯が動く際に歯根膜にも大きな負担がかかります。
矯正治療中には、どうしてもこのような骨と歯根膜への負担がかかることから、痛みを感じることは避けられないのです。
ちなみに、マウスピースの装着時間が足りなかったり、装着を忘れてしまったりすると、歯が予定通り動かないため、次の段階のマウスピースを入れた際に歯に無理な力がかかりやすくなってしまい、痛みを感じやすくなります。
2-2マウスピースが粘膜に当たっている
インビザライン矯正で使用するマウスピースは、表面が滑らかな医療用プラスチックでできていますが、マウスピースの縁の部分が口内の粘膜に擦れて痛みを感じることがあります。
とくに、歯磨き不足などが原因で歯茎が炎症を起こして腫れてしまっていると、本来は当たるはずのない部分にマウスピースの縁が当たってしまい、痛みを感じることもあります。
また、治療を始めて間もない頃は、マウスピースの着脱に慣れておらず、誤って粘膜を傷つけてしまうといったことも起こり得るでしょう。
2-3アタッチメントによる痛み
インビザライン矯正では、歯の表面に「アタッチメント」と呼ばれる白くて小さな突起状のものを装着し、マウスピースの矯正力を発揮させやすくします。
このアタッチメントは、マウスピースを着けたり外したりする際に口の内部にひっかかることがあり、そこから痛みを起こすことがあります。
また、食事の際にマウスピースを外すと、それまでマウスピースで覆われていて気にならなかったアタッチメントの出っ張りによって口内を傷つけることもあるかもしれません。
3.インビザライン矯正中の痛みへの対処法
インビザライン矯正中の痛みに対しては原因に応じて次のように対処するとよいでしょう。
3-1マウスピースを前の段階のものに戻してみる
新しいマウスピースに取り換えて痛みが強い場合、歯が十分に動き切っておらず、歯に強い力がかかっていると考えられるため、一旦、一つ前の段階のマウスピースに数日戻してみるとよいでしょう。
装着時間が十分でない場合、歯は予定通り動かないということになってしまいますので、そのような状態で次のマウスピースに替えてしまうと痛みが出やすくなります。
3-2マウスピースの縁を丸める
インビザラインで使用するマウスピースは、アメリカのアライン・テクノロジー社が先進の技術を使って製作しており、精巧に仕上げられていますが、人によっては縁の部分が鋭利で強く当たるように感じられる場合もあります。
このような場合には一度歯科医院に相談して、縁を丸めることで問題を解決できます。
3-3歯みがきをこまめに、丁寧に行う
歯みがきが不十分で歯茎が歯肉炎を起こして腫れると、マウスピースの縁が当たって痛みを感じてしまうこともあります。
マウスピース矯正中はどうしても歯の際に歯垢が溜まりやすく、歯肉炎のリスクが高まりますので、食後のたびに丁寧に歯磨きを行うようにしましょう。
3-4専用の着脱用器具を使う
特にアタッチメントが入っている場所は、マウスピースが入れにくかったり、外しにくかったりすることがあります。
このような場合に力ずくで着脱をしてしまうと痛みを感じる原因になってしまいますし、大事なアタッチメントが外れてしまう原因にもなりかねません。
そのため、このようなつけにくさ、外しにくさを感じるようであれば、専用の「アライナーリムーバー」という着脱用器具を使用することをおすすめします。
4.まとめ
インビザライン矯正は、従来のワイヤー矯正と比較すると痛みを感じにくい方法となっており、ストレスを少なく矯正治療を進めていくことができます。
ですが、歯が動くタイミングでは歯が敏感になって多少の痛みを感じることはありますし、マウスピースの取り扱い方や口内のケア方法、もしくは歯に固定されるアタッチメントやマウスピースの仕上げの状態によっては人によって痛みを感じやすくなることがあります。
インビザライン矯正で痛みが出る原因を知り、対策をすることで、痛みをなるべく起こさないように治療を進めていくことが可能ですので、インビザライン矯正中の方、これからインビザライン矯正を始める予定の方はぜひ参考にしてみてください。
この記事の監修者

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