親知らず抜歯後の食事のタイミングは?

親知らず抜歯後の食事のタイミングは?
親知らずを抜いた後に一番気になるのは、痛みや腫れのことではないでしょうか。でも抜歯後の食事をどうしたらいいか?というのも気になるところです。今回は、親知らずを抜いた後の食事について、抜歯後どのくらい経ったら食事が可能なのか、そして、どんなものを食べたらいいのか、どんな食べ物は避けるべきか、など、よくある食事に関する疑問点について回答していきます。

 

1.親知らずの抜歯後、食事を摂っても安全な時間は何時間後ぐらい?

 

1-1 食事は麻酔が切れるまで待ちましょう

 

親知らずの抜歯を行う前には、親知らず周囲の歯茎に局所麻酔を施します。局所麻酔が効いている時間は、個人差はありますが、平均して2〜3時間程度です。

 

親知らず抜歯にかかる時間は、親知らずの場所や生えている状態によっても違いますが、簡単に抜けるケースでは数分程度、通常の抜歯であっても20〜30分程度もあれば終わりますので、抜歯後少なくとも2時間くらいは待ち、口周辺のしびれの状態を見ながら、通常の感覚が戻ってきたらお食事を摂っていただくことをおすすめします。

 

1-2 麻酔が切れないうちに食事をするリスク

 

麻酔が効いた状態では、お口の感覚が麻痺していて温度や刺激を感じにくくなっていますし、舌や唇を思うように動かすことができません。そのため、そのような状態で食事をしてしまうと、口の中を噛んで傷つけてしまったり、口からこぼれてしまったり、熱いものの場合には火傷をしてしまう恐れもあります。

 

1-3 親知らず抜歯の前に軽くお腹を満たしておく

 

麻酔が効いている時間は人によって違いがあり、数時間麻酔が取れない、というような人もいます。しかし、麻酔が効いている間には食事を摂ることができないので、親知らずの抜歯の際には、なるべくその後空腹になる状態を避けるために、事前に軽く何かを食べてお腹を満たしておくことをおすすめします。これは、抜歯後に飲む痛み止めが胃を荒らさないようにするためにも、低血糖の状態を避けるためにも、大事になってきます。

 

ただし、術前にお腹いっぱいにしてしまうと、術中に気持ちが悪くなったりする原因にもなりますので、食べ過ぎは控え、抜歯の1時間前くらいまでには済ませておくようにしましょう。

 

2.抜歯直後に食事をする際、気をつけたい注意点は?

2.抜歯直後に食事をする際、気をつけたい注意点は?

 

2-1 なるべく流動食に近いものが理想的

 

抜歯した部分は傷口になっています。そのため、痛みを出さないため、そして再出血を避けるためにも、当日は固形物や刺激物、熱いもの、アルコールは避け、その部分を刺激しないような、常温で流動食に近いものを食べていただくことをおすすめします(スープ、ゼリー、ヨーグルト、スムージーなど)。

 

通常の抜歯の場合だと、翌日くらいから固形物を食べても大丈夫ですが、傷口を痛めないためにも、数日はやわらかいものを召し上がってください。また、食べる際は、傷口がある程度塞がるまでは、抜いた側と反対側で噛むようにしましょう。

 

2-2 食べ物が穴に入っても無理やり取り除かない

 

抜歯後に穴が塞がるまでの間は、食べ物が穴に入ってしまうことがあります。そのような場合には、可能であれば軽くゆすいで取り除くようにしましょう。強いうがいは、抜歯後の穴に溜まった血餅(血の塊)を流してしまい、治りを遅らせる恐れがあるので、避けてください。また、歯ブラシや爪楊枝などを突っ込んで無理に取る、というようなこともやめておきましょう。

 

万が一取れない場合でも、食べかすが内部に残ったまま問題を起こすということはありませんので、それほど気にする必要はありません

 

2-3 抜歯直後の歯磨きの仕方の注意点

 

抜歯をした後には、抜いた部分の歯茎が腫れたり炎症を起こしたりしています。そのため、抜いた歯の隣の歯を磨く際には、歯ブラシが傷口に当たらないように気をつけましょう。できれば、毛の硬さが「やわらかめ」のものを使っていただくと、より刺激を抑えて磨けるので、おすすめです。

 

また、抜いた穴に溜まった血餅が流れ出さないようにするためにも、歯磨き後のうがいも圧をかけないよう、あくまでも優しく行うようにしましょう。

 

3.親知らずが倒れている場合など、抜歯に手術が必要な「難抜歯」の場合の注意点は?

3.親知らずが倒れている場合など、抜歯に手術が必要な「難抜歯」の場合の注意点は?

 

親知らずは、特に下の場合、まっすぐきれいに生えずに、親知らずが横向きに倒れていたり、斜めに生えていたり、というケースも多いものです。そのような場合には、通常の抜歯の方法では抜けないため、歯茎を切ったり、場合によっては骨を削ったり、歯を分割して抜くこともあり、抜歯に1時間以上かかることも少なくありません。このようなケースを「難抜歯」と言いますが、この場合には、食事がより大変になるのに加え、感染を起こして治りを悪くしないために、更なる注意が必要になります。

 

3-1 食べにくい状態が1週間くらいは続く

 

難抜歯の場合、歯茎を切開するのに加えて、骨を削ることも少なくありません。そのため、抜歯後の痛みや腫れの症状が通常の抜歯と比べて長く続きます。抜歯後の痛みに関しては、抜歯後2、3日くらいがピークで、通常はその後落ち着いてきますが、腫れは大きく出ることも多く、1週間くらい腫れが出ることも珍しくありません。

 

腫れの程度によっては、口が開きづらくなり、食べ物をお口に入れにくくなることもあります。そのような場合には、あまり固形物は食べられないため、腫れが落ち着くまでの数日間は流動食に近いものを食べるようにしましょう。もちろん、刺激物や熱いもの、アルコールも避けるようにしてください。

 

3-2 強い痛みを起こす「ドライソケット」に注意

 

難抜歯の場合に起こりやすく、注意したいのがドライソケットです。ドライソケットというのは、抜歯した後に治癒が順調に起こらず、骨が露出した状態となるもので、主に下の難抜歯の親知らず抜歯後に見られます。この状態になると、痛み止めも効きにくいほどの強い痛みが2週間以上など、長期間にわたって続きます。

 

◆ドライソケットの原因

ドライソケットは、抜歯をした穴に溜まった血餅が剥がれた、麻酔が効きすぎて出血があまり起こらなかった、ということが原因で、骨が露出してしまうことで起こります。出血や、抜歯後の穴に食べかすが入ったのが気になってついついうがいをやり過ぎてしまう人は、ドライソケットを起こしやすくなるので十分に注意が必要です。

 

特に下の難抜歯の親知らず抜歯の場合、抜いた後の穴が大きいため、その分食べかすも入りやすくなります。そのため、歯を抜いた後間もない期間は、固形物を避ける、もし気になってもうがいをし過ぎない、ということが重要になってきます。

 

◆ドライソケットになってしまったら

ドライソケットになってしまった場合、早く治すためには、抜歯した部分が再び血で覆われるよう、麻酔をして抜歯した穴を引っ掻いて出血させる、といった処置を行います。

 

4.まとめ

 

親知らず抜歯が終わった後には、1日も早く美味しいものを気にせず思いっきり食べたい、と思う人も多いでしょう。ですが、抜歯後のトラブルをできるだけ避け、傷口の治りを順調に進めていくためには、抜歯後の食事の仕方に十分に注意するということがとても重要になってきます。

 

万が一ドライソケットになってしまうと、強い痛みのせいで辛い思いをしてしまうことになります。また、痛み止めを長く飲み続けなければならなくなるため、胃が荒れてしまい、さらに食事が不便になってしまう、ということも珍しくありません。そのようなことにならないためにも、抜歯後は少しずつリハビリをしていくような気持ちで急がず、徐々に食事を戻していくような気持ちで対処していくことをおすすめします。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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