体調不良は歯並びが原因??矯正治療で良くなるの?

体調不良は歯並びが原因??矯正治療で良くなるの?
「慢性的な頭痛、肩こりに悩まされている」「疲れが取れない」「すぐにイライラしてしまう」・・こういった不快な症状に長期間悩まされている方もいるかもしれません。

 

実はこういった心身の不調は、歯並びから来ている場合というのがあります。

 

歯並びの問題は、見た目の面にフォーカスされがちですが、実はそのような表面的な問題だけではなく、体の健康面にまで影響をもたらすことも多いのです。

 

1.歯並びの悪さと体調不良の関係性

 

1-1歯並びの悪さは体調不良に関係する

 

歯並びの悪さは、体調不良に関係します。

 

たとえば、歯並びが良いよりも悪い方が歯磨きがしにくく、虫歯や歯周病などのお口の健康状態悪化を招きやすいことから、そこが元になって体調不良につながりやすい、というのは想像がつきやすいでしょう。

 

1-2一見歯並びが良くても噛み合わせが悪い場合がある

 

ところが、歯並びが良ければそれでいい、というわけではないので、油断は禁物です。それはなぜかというと、歯並びが良くても噛み合わせが悪いケースというのがあるからです。

 

たとえ歯が重なりなくきれいに並んでいても、上下の位置関係が悪いと、つまり、噛み合わせが悪いと、顎の筋肉や関節に負担がかかり、自律神経にも影響するので、それが全身的な影響を及ぼしやすくなります

 

しかし、噛み合わせに関しては、明らかな出っ歯や受け口といった分かりやすい状態でない限り、自分で良いか悪いかというのは分かりにくいことも多く、一見歯並びが良ければ問題ないと見過ごされている場合が多いです。

 

1-3正常な噛み合わせを持つ人は実は少ない

 

厳密に言うと、自然な状態で正常な噛み合わせを持つ人は非常に少ないと言われており、ほとんどの人は噛み合わせに何らかの問題を抱え、全身の健康に悪影響を及ぼす「咬合(こうごう)関連症候群」を起こしている可能性があります。

 

2.歯並びの悪さが原因で起こる体調不良

 

2.歯並びの悪さが原因で起こる体調不良

 

歯並び、噛み合わせの悪さが原因で起こる可能性のある体調不良としては、次のようなものが挙げられます。

 

2-1さまざまなお口のトラブル

歯ブラシが隅々まで届きにくいため、磨き残し部分から虫歯や歯周病が起こりやすくなります。また、それに伴い口臭も起こりがちです。

 

噛み合わせが悪い場合には、歯にかかる力が特定の場所に集中して、歯が折れたり割れたりしやすく、歯周病による骨の吸収も起こりやすくなります。

 

結果的に、歯を早期に失いやすくなってしまい、そこからさらに噛み合わせが変化していくので、さまざまな不定愁訴や体調不良をさらに引き起こすリスクが高くなります。

 

2-2顎関節症

 

噛み合わせが悪いと、噛む筋肉が均等に働かない他、顎の動きに制限が出てしまいます。その結果、顎関節や噛む筋肉に痛みを感じる、口を開けづらい、顎関節部から雑音がする、と言った症状を引き起こす「顎関節症」になりやすくなります。

 

2-3頭頸部・肩の痛み

 

噛み合わせの悪さから、噛む筋肉が過度に緊張してしまったりすると、その筋肉からつながる頭部や頸部、肩の筋肉まで緊張状態になってしまい、慢性的な頭痛や首の痛み、肩こりを引き起こすことがあります。

 

2-4耳鳴り・目まい

 

噛み合わせの悪さは自律神経の乱れを招くことがあり、耳鳴りやめまいといった症状にまで発展することもあると言われています。

 

2-5いびき

 

歯並びが悪く、お口の容積が小さくなると、舌が喉の方に下がります。眠っている際には、さらに舌は喉の奥に落ち込むので、気道が狭くなり、呼吸時に粘膜が振動していびきが起こりやすくなります

 

3.こんな病気も歯並びが原因の可能性が

 

3.こんな病気も歯並びが原因の可能性が

 

歯並び、噛み合わせの悪さから次のような病気が起こることもあります。

 

3-1睡眠時無呼吸症

睡眠時無呼吸症とは、眠っている間に、舌の根元が喉の方に下がることで気道が狭くなってしまい、時々気道が塞がれてしまうことで呼吸が断続的に止まってしまう状態です。

 

睡眠時無呼吸症になると、空気の取り込みが悪くなってしまい、睡眠の質が大きく低下してしまうため、日中の眠気、集中力・記憶力の低下を引き起こします。中には、車の運転中に居眠りをしてしまうこともあります。

 

3-2高血圧・不整脈・心不全

 

睡眠時無呼吸症は全身疾患を引き起こすこともあります。たとえば、高血圧や不整脈、心不全にまで発展することがあると言われています。このような病気を発症すると、生命に関わることもあるため、十分に注意が必要です。

 

3-3慢性疲労

 

睡眠時無呼吸症による睡眠障害により、どんなに眠っても疲れが取れず、慢性疲労状態になってしまうことも少なくありません。

 

3-4胃腸の不調

 

噛み合わせが悪いと、しっかりと噛むことができず、唾液が十分に出ないまま飲み込んでしまうことになり、消化不良により胃腸に負担をかけてしまう可能性があります。

 

3-5肥満・糖尿病

しっかりと咀嚼せずに飲み込むことで早食いになってしまいます。早食いをしていると、脳の満腹中枢が働く前にたくさん食べてしまうため、過食となってしまい、肥満を招き、糖尿病を引き起こす原因にもなります。

 

3-6風邪をひきやすい・アレルギー

 

成長期に口呼吸をしていると、歯並びや骨格が口呼吸に合わせた形へと発達してしまうことがあります。その状態のまま口呼吸をしていると、鼻のフィルターで本来取り除かれるべきホコリやウイルスなどの異物が喉に直接入りますので、風邪をひきやすい、アレルギーを起こしやすい、ということが起こりやすくなります。

 

3-7精神的な問題

 

歯並びによっては見た目にコンプレックスを抱えて自分に自信が持てずに消極的な性格になってしまうことが多くあります。また、噛み合わせが悪いことで、頭痛や肩こり、その他様々な不調を感じやすくなり、ちょっとしたことでイライラしやすくなる、といったことも起こりがちです。

 

そのほかにも、歯の問題や体の問題に悩まされて鬱のような状態になってしまうことも珍しくありません。

 

4.矯正歯科治療で歯並びを改善すると良くなる?

 

歯並び、噛み合わせが原因で体調不調が起こっていると考えられる場合、矯正治療をすることでそういった不調が改善する可能性は確かにあります。

 

ただし、体の不調というのは、歯並びだけでなく、様々な要因が重なって起こることが多いため、矯正治療をして現在悩んでいる不調が100%なくなるという保証はありません

 

そのため、体の不調を治すことだけを目的に矯正治療をする、というのであれば、あまりおすすめはしません。これに関しては、実際に、歯並びや噛み合わせが悪くても、特に体の不調を感じていない人もいるからです。

 

ですが、歯や体にとって明らかに害があると思われる歯並び、噛み合わせである場合には、将来的に歯を長持ちさせ、より健康な体を維持しやすくするためにも、矯正治療を受けることには大きな意味があると言えるでしょう。

 

5.まとめ

 

体の不調の原因が歯並びや噛み合わせから来ていると考えられる場合、矯正治療以外にも、手取り早い方法としては、就寝中などにマウスピースをつけて歯や顎への負担を減らす「スプリント療法」や、歯を削る、もしくは被せ物などで噛み合わせを調整したりする、と言った方法もあります。

 

ただし、歯を削るという方法の場合、削った歯を元に戻すことはできませんし、逆に噛み合わせが悪くなってしまう恐れもあるため、安易に行うことは避けるべきです。

 

矯正方法であれば、歯並びも噛み合わせも良い方向へ導いていくことが可能です。ただし、治療期間が長くかかる、費用がある程度かかる、という面もありますので、治療を受けるかどうかは、メリットとデメリットをよく考えた上で決められることをおすすめします。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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