大人の矯正で失敗しないためにはどうすればいいの?

大人の矯正で失敗しないためにはどうすればいいの?
昔は矯正治療というと、子どものうちにするイメージがありましたが、今では成人の方で矯正治療をする人が増えてきています。

 

現在では、従来から広く行われているワイヤー矯正の他に、透明なマウスピースを使った目立たない矯正治療法も盛んに行われるようになり、大人の方でも気軽に矯正治療を受けやすくなっていることも大きな理由だと考えられます。

 

ただし、中には、適切に行われない矯正治療によって思わぬ結果を招いてしまうケースもあります。今回は、大人になってから矯正治療を始めたいとお考えの方に、大人の矯正治療でどのような失敗例があるのか、またその原因、そして失敗しないために自分でできることについてご紹介していきます。

 

1.大人の矯正で失敗しないためにはどうすべき?

 

1-1 矯正歯科を専門にしている歯科医師の元で治療を受ける

 

大人の矯正治療で失敗しないために、まず注意したいのは、治療を受ける歯科医院、歯科医選びです。最近は、マウスピース矯正を希望する人が増えており、マウスピース矯正を取り扱っている歯科医院もたくさんあります。

 

しかし、中には、あまり矯正治療に詳しくない歯科医師によって、マウスピース矯正の適応症例ではないケースで安易に治療が行われていることも少なくなく、思ったような効果が得られないばかりか、後に予期せぬトラブルが起こっているケースも散見します。

 

歯列矯正はただ装置をつけていれば歯が動いていい歯並びになる、というものではありません。歯列矯正を行うためには、まずしっかりと診査・診断をした上で、抜歯の必要性があるのかどうか、どのような装置が適応症なのか、というのをきちんと見極めた上で行わなければ、失敗に終わることもあるのです。そのためには、矯正治療を専門に行っている矯正歯科で治療を受ける、もしくは信頼のおける矯正歯科医が勤務している歯科医院を選ぶ、ということは、非常に大事な要素となってきます。

 

1-2 矯正治療のリスクを十分に理解した上で治療を受ける

 

矯正治療は、他の歯科治療とは違った特徴を持った治療であり、万人に向いている治療であるとは言えません。例えば、歯を移動させるためには、歯にダメージを与えないよう、時間をかけて行う必要があるため、通常、治療期間は1、2年以上と長く、根気のいる治療となります。また、その後に歯の後戻りを防ぐ保定期間というのも必要となります。

 

さらには、ワイヤー矯正の場合においては、装置が歯に固定されるため、口腔ケアをしっかり行わないと、虫歯や歯周病が進んでしまうこともあり、その対策をしっかりとできる人でなければ難しいでしょう。

 

2.大人の矯正で見られる失敗ケース

 

2.大人の矯正で見られる失敗ケース

 

2-1歯肉退縮

 

歯茎が下がる「歯肉退縮」は大人の矯正治療でよく見られる現象の一つです。特に前歯が重なっているケースにおいては、重なりがなくなるにつれて歯茎が下がったように見えることがあります。また、歯並びを外に広げる場合、外側の骨が薄くなることにより歯茎が下がりやすくなることもあります。

 

2-2歯根吸収

 

歯根吸収というのは、歯の根っこが短くなってしまう現象です。これは歯に力をかけることによって起こりますが、強い力がかかりすぎてしまった場合には、そのリスクが高くなります。

 

2-3虫歯・歯周病

 

これは、矯正治療が失敗した、ということではありませんが、起こりやすいトラブルだと言えます。特に歯に固定するワイヤーで矯正する場合、装置が邪魔になって歯磨きがしにくくなるため、プラーク(歯垢)が溜まりやすくなることで、虫歯や歯周病にかかるリスクが高くなります

 

2-4後戻り

 

矯正治療が終わった後に、歯並びが元の位置に戻ろうとして歯が動いてしまい、歯並びがまた乱れてしまう現象です。これも比較的良く目にするトラブルです。

 

2-5口元が出っ張っている

 

矯正治療をして歯並びはきれいに並んだけれども、口元の張り出し感が残った状態になることがあります。こうなると、せっかく並んでも、見た目に満足いかないという結果に終わってしまいます。

 

2-6 噛み合わない

 

歯並びはきれいに並んだのに、しっかりと噛み合わない状態で終わってしまいうまく噛めない、というトラブルが起こることもあります。

 

2-7 思っていたイメージと違う

 

自分の希望していたイメージと、仕上がりのイメージが違い、満足いかないという結果に終わることがあります。

 

2-8 治療期間が長くかかりすぎる

 

通常かかる治療期間を越えても、いつまで経っても矯正治療が終わらない場合というのも、治療方法の選択を失敗している可能性があります。

 

3.大人の矯正が失敗してしまう原因

 

3.大人の矯正が失敗してしまう原因

 

3-1 適応症に合っていない治療法

 

適応症に合っていない治療法を行うと、自分のなりたいイメージと違う結果に終わったり、治療期間が無駄に長引いたりする可能性があります。

 

例えば、抜歯しなければならないケースなのに抜歯をしないで矯正してしまうと、口元が前方に張り出した状態になってしまったり、歯茎が下がって歯が長く見えてしまったりする原因になります。

 

3-2 矯正治療に詳しくない歯科医師による治療

 

矯正治療は、歯科治療の中でも専門的な知識や技術を必要としますが、中には矯正の知識、経験があまりない歯科医師が行なっている場合もあります。そのような歯科医師が治療を行うと、起こりうるリスク、歯の動きを予測できず、歯のトラブル発生や治療がうまく進まない、思った結果にならないといった問題が起こる可能性が高くなります。

 

3-3 口腔ケアがうまくできていない

 

歯に装置を固定する矯正治療の場合、歯の周囲のプラークがたまらないように入念なケアをする必要がありますが、それを怠ってしまうと虫歯や歯周病にかかってしまう可能性があります。また、逆に、歯磨きをする際にやりすぎてしまって歯茎を傷つけ、歯肉退縮を起こしてしまうこともあります。

 

3-4 保定装置をきちんと使用していない

 

矯正治療の装置による治療が終わったら、しばらくは歯が元の位置に戻ろうとします。その時に、歯が動かないようにする保定装置(リテーナー)を決められた通りに装着していないと、歯並びがずれてしまい、乱れてしまいます。

 

4.大人の矯正治療を失敗しないために自分でできること

 

4-1 矯正治療を専門とする歯科医師に治療を受ける

 

矯正治療を失敗しないために一番大事なことは、最初の方でもご紹介したように、矯正治療を専門とした経験豊富な歯科医師から治療を受けるということです。

 

4-2 治療法についてしっかりと説明を受け理解する

 

治療後に、「こんなはずではなかった」とならないために、治療計画についてさまざまな選択肢をリスクも含め、説明してもらうこと、そしてそれぞれの仕上がりのイメージや治療期間、金額などについて、具体的なイメージを提示してもらうことも、重要です。

 

4-3 適切な口腔ケアを行う

 

毎日のお口のケアは、歯ブラシだけでなく、細かいところまで届く清掃器具を用いて隅々まで行うようにしましょう。また、セルフケアだけではどうしても磨き残しが出てしまいますので、歯科医院で定期的にクリーニングもしてもらうようにしましょう。

 

4-4 保定装置の使用を怠らない

 

歯並びが後戻りを起こしてしまうと、また矯正治療のやり直しが必要になってしまいます。そうならないためにも、保定装置は歯科医師の指示通りに、決められた期間、決められた通りに使用するようにしましょう。

 

5.まとめ

 

大人の矯正治療は、確かにそれに伴うトラブルや失敗例もありますが、絶対避けられないというものではなく、ご自分で対策をしっかりととることで避けられる場合も多くあります。

 

矯正治療は見た目のメリットだけでなく、お口のケアがしやすくなったり、噛み合わせが整ったりすることで、お口の健康状態も改善できる素晴らしい治療法です。

 

ぜひ、矯正治療後に後悔しないためにも、歯科医師選びは慎重に、そして、治療に関しては十分に説明を受けて納得が行く状態で治療を受けるようにしましょう。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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