子どもの矯正治療にかかる期間はどれくらい?

子どもの矯正治療にかかる期間はどれくらい?
矯正治療は、永久歯になってから行う成人矯正の場合、症例によって違いはあるものの、平均的に大体2年~2年半程度といったところですが、子どもの矯正治療の場合は一体どのくらいかかるのでしょうか。

今回は子どもの矯正治療にかかる期間や、なぜそのくらいの期間かかってしまうのか、また、治療期間を短くするためにできることについてご紹介していきます。

 

1.子どもの矯正治療の期間はどれくらいかかる?

 

子どもの矯正治療にかかる期間は、皆に共通した期間というものはなく、実際には、個々のケースや治療を開始する年齢、使用する装置、また親御さんの考え方などによっても変わってきます。

 

1-1子どもの矯正治療は第1期治療と第2期治療がある

 

まず、「子どもの矯正」とは、基本的に中学生(15歳)くらいまでの矯正治療を指します。子どもの矯正治療は、乳歯の段階から永久歯の生え替わりが終わるまでの第1期治療と、永久歯のみになってからの第2期治療に分けられます。

年齢的な目安としては、生え替わりの時期の早い遅いによっても違いますが、第1期が3歳くらいから12歳くらいまで、第2期がそれ以降、つまり小学校高学年から中学生くらいになって全て永久歯に生え替わってから行うことになります。

 

1-2第1期の矯正期間

 

第1期治療は、乳歯が残っている期間に行いますが、主な目的としては、永久歯の生えてくるスペースを確保するために、成長期を利用してあごを広げるなど、生える土台を整えていくことです。

第1期治療を行っておくことで、永久歯がそろった後に歯を抜歯(間引き)して矯正する必要がなくなったり、きれいな骨格にすることができたり、第2期治療をスムーズに進めていくことができたりなど、さまざまなメリットがあります。もしくは、改善の状態によっては、第2期治療自体必要なくなる場合もあります。

第1期治療は、骨格的な異常によって起こる「下顎前突」などの場合のように、まれに就学前から行うこともありますが、大体は小学校に入ってからそれぞれの歯並び・骨格の状態に適した時期から始めていきます。ですので、第1期治療は長くて6年程度、ということになるでしょう。

ただし、ケースによっては第1期治療の必要はなく、第2期からの治療で問題ないケースもあります。

 

1-3第2期の矯正期間

 

第2期治療は永久歯が生え揃ってから行う治療で、治療の内容としては成人矯正と同じものとなります。つまり、歯並び・噛み合わせをきれいに整えていくことが目的となります。

永久歯が生える場所が足りなくなりそうなあごの骨の小さいケースにおいては、乳歯の時期に第1期治療を行っておくことにより、永久歯が並ぶ土台が整っているので、永久歯を抜歯せずにきれいに並べられる可能性が高くなります。

また、第1期治療である程度良いところまで整っているため、第2期治療にかかる期間を短くできたり、治療費用を抑えたりすることも可能です。

第2期治療は、1年半~2年半程度となり、その後に歯並びが乱れないようにする保定装置を装着する期間としてさらに2年程度必要、ということが多いですが、骨格的な問題があるケースなどにおいてはさらに期間を必要とする場合もあります。

 

2.子どもの矯正期間はどうして長くかかる?

2.子どもの矯正期間はどうして長くかかる?

 

上でご紹介したように、子どもの矯正治療(第1期治療、第2期治療)を単純にトータルで考えると、とても長い期間となってしまいますが、それには次のような理由があります。

 

2-1第1期治療は永久歯に生え替わるまでの経過観察が長い

 

第1期治療は、乳歯から永久歯への生え替わりやあごの成長の状態を見ながら、必要に応じて装置を臨機応変に使用する、ということを乳歯が全て抜け落ちるまで続けていきます。

ちなみにこの期間、ずっと装置を装着しているのか?というとそういうわけでもなく、何もつけずに経過観察を繰り返していくという期間も存在します。

そのため、単に「期間」ということだけでいうと長く感じますが、実際に装置を使用しない時間も多いため、装置をつけている期間だけで考えれば、実際はそれほど長いとも言えません。

 

2-2求めるゴールによって長くかかることがある

 

第1期治療が終わった後は、第2期治療に必ず進まなければならないのか、というとそういうわけでもありません。これは親御さん、お子さんの求めるゴールによっても違ってきます。

中には、あごの大きさと歯の大きさのアンバランスが第1期治療だけでは解決せずに、どうしても抜歯をして第2期治療が必要になってくる、といったケースもありますが、多くのケースでは第1期治療だけでもある程度のところまできれいに並べていくことができます。

ただし、第1期治療だけでは、多くの場合、大まかに並べるだけなので、基本的にズレなくピシッと揃った理想的な仕上がり、とまではいきません。ですがそこで、親御さんも含め、「そこまで見本のようにきれいにしなくても良い」ということであれば、第2期治療はせずに第1期治療で終了する、ということも可能で、そうなると治療期間は必ずしも長くかからないということになります。

 

2-3第2期治療は下あごの成長が終わるまで経過観察が長い

 

下あごの成長は16歳くらいまで続きます。それまでは、たとえ歯をきれいに並べ終わったとしても、下あごの成長により、また状態が変わってくる可能性があるため、十分な経過観察の期間が必要になります。また、場合によっては治療がさらに必要になることもあります。

 

2-4第2期治療の後はリテーナーが必要

 

第2期治療は、歯の一本一本に力をかけて動かしていく治療となりますが、無理矢理動かした歯というのは、そのままにしておくと、元の位置に戻ろうとする「後戻り」現象を起こします。

これを防ぐためには、歯を動かす治療が終わった後に「リテーナー」と呼ばれる保定装置を、矯正治療にかかった期間と同程度の期間、使用する必要があります。

前歯の裏にワイヤーを固定するタイプのリテーナーもありますが、多くの場合、取り外し式のもので、就寝中などに使用します。ただし、これに関しては、子どもの矯正だからというわけではなく、成人矯正に関しても同じです。

 

3.治療期間を短くするためにどうすればいい?

3.治療期間を短くするためにどうすればいい?

 

治療期間を短くするためには、「治療開始年齢を遅くする」という考えもありますが、子どもの矯正に関しては、やはり適正な年齢から始める場合と比べると、骨格や歯並びの仕上がりがイマイチになりますし、症例によっては抜歯や骨を切る手術が必要となるリスクが出てくるため、それはあまりおすすめしません

「治療期間を長くしない」という視点で考えると、「装置を説明された通りに正しく使用する」「虫歯を作って矯正治療を中断しない」「予約通りに通院する」といったことが大事となってくるでしょう。

 

4.まとめ

 

子どもの矯正に関しては、治療期間が長くなるのがデメリット、と言われることがありますが、実際に装置をつけている時間として考えれば、そこまで長くならないケースも多いといっていいでしょう。

成長発育が盛ん、そして生え替わりの時期である子どもの頃から矯正治療を行っていくことにより、成長し切ってから矯正治療を行うよりも、見た目や健康面においても多くのメリットがあります。

どのタイミングで治療を開始するかは、矯正歯科を専門とする歯科医師がしっかりと検査をした上で診断していきますので、お子さんの歯並びが気になっている方は、一度早めに矯正歯科を受診してみることをおすすめします。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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