インビザラインの治療期間はどれくらいかかるの?

インビザラインの治療期間はどれくらいかかるの?
なるべく目立たない方法で快適に矯正治療をしたい、という方にとって、透明なマウスピースを使ったインビザライン矯正はとても気になる治療法でしょう。矯正治療を始めるにあたり、治療期間というのはとても気になる問題です。

 

そこで今回は、インビザラインの治療期間について、平均的な治療期間はどのくらいなのか、また、治療期間が延びてしまう原因や、治療期間を短くするために気をつけたいポイントについてもご紹介します。

 

1.インビザラインの平均的な治療期間

 

インビザラインの治療期間は、それぞれの症例によって違いがありますが、平均的な治療期間としては、大体6ヶ月~2年半が目安です。

 

これは、従来のワイヤー矯正の治療期間とほぼ同じくらいと考えて良いでしょう。インビザラインの治療期間は、矯正方法や歯並びの状態などによっても違いが出てきます。詳しく見ていきましょう。

 

1-1矯正する範囲

インビザラインには、大きく分けて、全体的に歯並びを整える「全体矯正」と、前歯の歯並びを中心に整える「部分矯正」があります。部分矯正は、噛み合わせの関係には問題がなく、前歯の軽度の乱れがある症例に対して行われるもので、歯をたくさん動かす必要がないので、治療期間は短め(半年~1年程度)であるのが通常です。

 

一方、全体矯正は、噛み合わせに問題がある場合や、軽度の乱れでは済まない不正咬合に対して行われ、歯を動かす距離が大きめとなりますので、治療期間は2年~2年半程度となることが多いです。

 

ちなみに、矯正治療をする方のほとんどは、全体的に治療が必要になることが多いため、全体矯正が適用となります。

 

1-2不正咬合の状態

不正咬合とは、歯並びが悪い状態をいいます。不正咬合の種類や程度はさまざまであり、それによっても治療期間に差が出てきます。下に挙げる不正咬合については、全体的に治療する必要があるので、一般的に治療期間が長くなる傾向があります。

 

◆叢生(そうせい)
歯が並ぶ場所が十分になく、歯がデコボコに重なり合っている状態で、日本人に多い不正咬合です。八重歯も叢生の一種です。

◆出っ歯(上の前歯が出ている)
上顎前突(じょうがくぜんとつ)とも呼ばれるもので、上あごが前方に突出している歯並びです。

◆受け口(下の前歯が上の前歯よりも前に出ている)
下顎前突(かがくぜんとつ)とも呼ばれるもので下あごが目立ちます。

◆開咬(かいこう)
奥が噛み合った状態でも前歯が噛み合わずにぽっかりと空いている状態です。

◆過蓋咬合(かがいこうごう)
ディープバイトとも呼ばれる歯並びで、噛み合わせが深い状態です。

ただし、いずれの場合でも、骨格的な異常が大きな場合には、インビザラインでの治療ができないと判断される場合もあります。

 

1-3抜歯の有無

歯を動かすスペースが十分にない場合や、大きく歯を引っ込める必要がある場合などにおいては、抜歯をして間引きをし、そのスペースを利用して歯を並べる必要が出てきます。

 

抜歯をして歯を動かす場合には、歯の移動距離がそれだけ長くなりますので、治療期間もその分長くなってしまいます。

 

2.インビザラインの治療期間が延びる原因

 

2.インビザラインの治療期間が延びる原因

 

インビザラインは正しく行われれば治療計画通りに進み、予測された治療期間内で終わるのが通常ですが、次のような要因があると、治療期間が延びてしまう可能性があります。

 

2-1マウスピースを装着する時間が短い場合

インビザラインは、取り外し可能なマウスピースを装着している間に歯が動く仕組みになっています。確実な効果を得るためには、1日に20時間以上装着することが必要ですが、装着時間がそれを下回ると、十分に歯が動かず、治療期間が延びる可能性があります。

 

2-2マウスピースの交換時期を守らない場合

治療で使用するマウスピースは、定期的なタイミングで、患者様ご自身で交換を行っていただきます。この際に、交換のタイミングを忘れてしまうと、その分治療期間が延びてしまう結果になります。

 

2-3虫歯ができてしまった場合

インビザラインの治療期間に虫歯ができたり、被せ物が取れたりなどした場合、治療後に詰め物や被せ物の形が変わってしまい、あらかじめ作製していたマウスピースが合わなくなる可能性があります。

 

その場合には、やむをえずマウスピースの作り直しが必要となり、その分治療にかかる期間が長くなってしまいます。

 

2-4マウスピースを破損・紛失した場合

マウスピースを途中で破損、もしくは紛失してしまった場合、新たに再製作をしなければなりません。

そうすると、その分治療期間は長くなります。

 

2-5追加のマウスピースが必要になった場合

インビザラインの治療中に、噛み合わせの微調整などの目的で、あらかじめ作っていたマウスピースに加えて、追加のマウスピースを作製する必要性が出てくることがあります。この場合にも、最初に予定していた治療期間よりも長くかかってしまいます。

 

3.インビザラインの治療期間を短くするために気を付けたいポイント

 

3.インビザラインの治療期間を短くするために気を付けたいポイント

 

矯正治療期間を長引かせず、予定通りに終わらせるために気をつけたいポイントは次の通りです。

 

3-1マウスピースの装着時間・交換タイミングを守る

マウスピース矯正の場合には、毎日決められた時間きちんとマウスピースを装着していないと、歯が動きません。そのため、基本的には食事と歯磨きの時以外には常に装着するように、メーカーによって定められた、1日に20時間~22時間の装着時間を守るようにしましょう。

 

また、次の段階のマウスピースに交換するタイミングを忘れないように、カレンダーに記入しておく、リマインダーをセットするなど工夫するようにしましょう。

 

3-2マウスピースの取り扱いに気を付ける

マウスピースをつけたままものを食べたり、マウスピースを乱暴に外したりなど、異常な力をかけないようにしましょう。また、歯ぎしりや食いしばりのある人は、日中の食いしばりに関しては意識して行わないようにすることがまず大切です。

 

夜間の歯ぎしりに関しては、あまりにも程度がひどい場合には、マウスピース矯正自体が適さない場合がありますので、事前に歯科医師に相談するようにしてください。

 

3-3マウスピースを紛失しないようにする

治療に使用するマウスピースは、一括で作製し、患者様に保管していただきます。

 

治療中のマウスピースを外したままどこかに紛失してしまったり、保管場所がわからなくなってしまったり、といったことがないように、取り扱いには十分に注意しましょう。

 

3-4丁寧な歯磨きを心がける

インビザラインのようなマウスピース矯正の場合、一般的にワイヤー矯正に比べて虫歯リスクが低いため、油断して歯磨きが疎かになり、十分に磨けていない状態でマウスピースを装着してしまう可能性があります。マウスピースを装着した状態では、マウスピース内部の唾液の流れが悪くなり、虫歯リスクは高まりますので、決して油断しないことが大切です。

 

3-5定期的にクリーニングを受ける

セルフケアの歯磨きだけでは、歯の表面に溜まるプラークが落としきれないため、特に矯正治療中は虫歯のリスクを下げるためにも、通常よりもこまめに歯科医院でのクリーニングを受けることをおすすめします。

 

4.まとめ

 

以上、インビザラインの治療期間についてご紹介しました。矯正治療では、ゆっくりと歯を動かすことで、歯にダメージを与えず、健康的に美しい歯並びにしていくことができます。

 

そのため、治療のスピードを早める、ということはできませんが、できるだけ治療期間を長引かせないためにも、今回の内容に注意して取り組んでいただければ幸いです。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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