歯並びの悪さが頭痛の原因になる?

歯並びの悪さが頭痛の原因になる?
歯並びの悪さは見た目に直結するので、審美的な改善を希望して歯科に来院する人が多いですが、歯並びの悪さは見た目だけでなく、実は様々な健康への悪影響があります。

頭痛もその中の一つです。慢性的な頭痛に悩まされている、という人は、実はその原因が歯並びの悪さからきているかもしれません。

今回は、歯並びの悪さと頭痛との関係のほか、噛み合わせや歯並びの悪さが引き起こす様々な問題についてご紹介するとともに、歯並びの改善法についてもご紹介していきます。

 

1.歯並びと頭痛の関係性について

 

歯並びや噛み合わせの悪さは、直接的に頭痛につながるわけではありませんが、頭痛の原因につながっていくことがあります。

 

1-1噛み合わせのアンバランスが顎関節症を招く

 

歯並びや噛み合わせが悪いと、全体的に均等に噛むのではなく、偏った噛み方になりがちです。そうすると、噛む筋肉がアンバランスに働くようになり、顎の関節や噛む筋肉にダメージを与え、顎関節症を発症して頭痛を起こすことがあります。

 

1-2歯を失うなど、口腔内の変化で起こることも

 

もともと歯並びが悪くない人でも、歯を失った後に放置していたり、親知らずが生えてきて噛み合わせに影響が出たり、歯科治療をした後に噛み合わせが変わったり、噛み合わせの合わない入れ歯を使用していたり、といった口腔内の変化によって顎関節症を発症し、頭痛が引き起こされることもあります。

 

1-3食いしばり、歯ぎしりからの頭痛

 

歯並びや噛み合わせが悪いと、安定する噛み合わせを求めて食いしばったり、噛みしめたり、歯ぎしりをしたり、また夜間の歯ぎしりも起こりやすくなります。そうすると、顎関節や顎の筋肉に負担がかかるので、こめかみのあたりに頭痛を感じることがあります。

 

2.咬合関連症について

 

2.咬合関連症について

 

歯並びや咬み合わせの悪さというのは、頭痛にとどまらず、全身のさまざまな症状を起こすとも言われており、そのような症状をまとめて「咬合関連症」と呼ぶことがあります。

咬合関連症として、頭痛や肩こりの他に、腰痛、目まい、難聴、慢性疲労、冷え性、手足の痺れや運動障害、立ちくらみ、生理不順など多岐に及ぶ症状が出ると考えられており、噛み合わせが悪くなることで頭の重心が変化し、頸椎に歪みを起こすことなどが原因になるとされています。

このような症状は、医療機関で検査を受けても異常が見つからず、ストレスのせいとか、自律神経失調症や更年期障害などと診断されることもあり、患者さんもそれを受け入れるしかないとあきらめていることもあります。

とはいえ、こういった症状が噛み合わせから来ているというのは実証が難しく、あくまでも「噛み合わせが原因の可能性がある」ということにはなってしまうのですが、実際に歯並びや噛み合わせを治すだけで症状が改善したり、消えてしまったりすることも少なくありません。

中には、寝たきり状態だった人が、しっかり噛めるようになり、自分で立って歩けるようになった、というような報告もあります。

正しく噛めるということは、単に食事を食べやすくするだけではなく、全身につながる筋肉、神経系や血流といった部分にも影響を及ぼしますので、様々な面から全身の健康にも影響を与えていると考えるのは十分にあり得ることだと言えるでしょう。

 

3.歯並び・噛み合わせの悪さが引き起こす問題

2.抜いたほうがいい場合、親知らず抜歯するタイミングは?

歯並びが悪いと、次のような問題を起こす可能性があります。

 

3-1虫歯や歯周病にかかりやすくなる

 

歯並びがガタガタに重なっている場合、歯ブラシがすみずみまで当たりにくくなります。そうすると、汚れが溜まりっぱなしになってしまう場所が出てしまいますので、そこから虫歯や歯周病が起こりやすくなります。また、治療をしたとしても、歯並びが悪いままだと同じことを繰り返す、つまり再発のリスクが高く、結果的に早く歯を失うことにつながってしまいます

 

3-2口臭の原因になる

 

歯の磨き残しが出やすくなるので、歯を磨いても口臭が改善しない、ということが起こりやすくなります。また、虫歯や歯周病にかかりやすくなることから、その影響によっても口臭が起こりやすくなります。

 

3-3顔の形が変形することがある

 

成長期に歯並びが悪いのを放置していると、顎の成長過程で偏った力がかかりやすくなり、顔の形が変形してしまったり、顎の成長不足、もしくは成長過剰を起こしてしまったりすることがあります。

 

3-4顎関節症を起こしやすくなる

 

噛み合わせが悪くなると、顎の筋肉が左右均等に働きづらくなることがあり、このような場合には顎の関節に負担がかかる、顎の筋肉が過度に緊張してしまう、というようなことが起こりやすくなります。その状態が続くと、顎の関節や筋肉の痛み、口の開け閉め時の顎関節の雑音、お口の開きづらさを引き起こす「顎関節症」の原因となります。

 

3-5体の健康状態への影響

 

噛み合わせが悪くなることで筋肉バランスが悪くなり、頭痛や肩こり、他にも様々な部分の痛みや不調などといった不定愁訴を起こしやすくなります。また、しっかりと噛めないことで胃腸トラブルを起こしたり、あまり噛まずに食べることで肥満になったりもしやすくなります。

 

3-6メンタル面への影響

 

歯並びによっては見た目が悪くなり、歯並びがコンプレックスとなって引っ込み思案になってしまったり、自分に自信が持てなくなってしまったりすることも多くあります。

また、歯並びが悪いことから歯の不調、体の不調のリスクも高くなるので、イライラしやすくなるなど、精神的なストレスも多く抱えてしまうことも少なくありません

 

4.歯並び・噛み合わせを改善する方法

 

歯並び・噛み合わせが悪いのを放置していると、それによって起こる様々な部分の痛みや不調はなかなか自然に軽快することはなく、辛い症状はずっと続いてしまいます。歯並びや噛み合わせに問題があるならば、できるだけ治療して改善することをおすすめします。

歯並びを改善する方法としては、次のような治療法があります。

 

4-1矯正治療

 

根本的に歯並びと噛み合わせを改善するのであれば、歯を動かして整える矯正治療がおすすめです。矯正治療はお子さんだけでなく、何歳になっても可能で、ワイヤーを使用する矯正治療法の他に、最近では透明なマウスピースを使った目立たないマウスピース矯正も人気があります。

保険がきかないので費用が高額なのと、治療期間が平均2年程度かかるという面はありますが、全体的に歯並びと噛み合わせを整え、健康的な解決ができるのが魅力です。場合によっては部分的に矯正治療をすることも可能です。

 

4-2補綴治療

 

補綴治療というのは、被せ物治療や、歯を失った部分にブリッジ、入れ歯、インプラントを行う治療のことです。部分的に歯並びが悪い、被せ物の噛み合わせが合っていない、歯を失った部分がそのままになっていてきちんと噛めない、というような場合には補綴治療だけでも改善が可能です。

 

5.まとめ

 

歯並びの悪さは、見た目だけが問題視されがちですが、放置しておくと後々歯や体に色々な影響が及び、生活の質にも大きく影響してくるため、可能であればできるだけ早いうちに改善しておくのが理想です。歯並びの悪さから慢性的な頭痛や肩こりなど起きるのは厄介ですし、ずっと苦しみ続けるのも辛いものです。

もし、どこかに頭痛など、原因不明の不調があるという場合、ひょっとしたら歯並びや噛み合わせの悪さが関係しているかもしれません。心当たりのある人は、一度歯科で相談してみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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