歯列矯正をやらなきゃよかった…よくある12個の失敗例と対処法

歯列矯正をやらなきゃよかった…よくある12個の失敗例と対処法
歯列矯正は、時間的にも金銭的にも、払う代償が大きいため、治療を受けるに際して覚悟が必要ですし、高額な治療なのだから成功して当たり前だと思われがちです。

 

ですが、数少ないケースでは「こんなはずではなかった」、「思っていたのと違った」などと、後悔する声も耳にします。

 

今回は、歯列矯正で起こりがちな失敗例を具体的に挙げてご紹介し、そうならないための対処法についても詳しく解説していきます。

 

1.歯列矯正をやらなきゃよかった…よくある12個の失敗例

 

治療を行った結果、歯科医師や他の人の視点からは成功と捉えられる場合でも、患者さんにとって思った結果が得られなければ、それは「失敗」となってしまいます。そういった例も含めると、歯列矯正で起こりがちな「失敗例」として、次のようなものが挙げられます。

 

1-1口元が引っ込みすぎた、または出っ張ってしまった

ガタガタに重なった歯並びを真っ直ぐに整えようとする場合や、出っ歯、受け口の場合などにおいては、小臼歯を抜歯して隙間を作り、そのスペースを利用して引っ込めて並べるということをよく行います。

 

ですが、この時に引っ込めすぎてしまうと、口元全体が引っ込んでしまい、老けて見える原因になります。

 

また、逆に、抜歯をした方がいいケースなのにも関わらず、抜歯をせずに無理やり並べた場合、歯並びが前方に張り出してしまい、出っ歯になってしまうことがあります。

 

1-2 鼻下が長くなった

上の前歯を引っ込めた場合、それまで上に持ち上げられていた上唇がだんだんと下がってきます。そうすると、鼻の下が長く見えるようになります。そのため、もともと鼻の下が長めの人は、抜歯をして引っ込める方法はなるべく避けること、口元を後ろに下げすぎないことが大事です。

 

1-3ほうれい線が目立つようになった

ほうれい線は、特に中年以上の年齢において、もともと出っ歯や八重歯だった人が矯正治療で前歯を引っ込めた場合に起こりやすい現象です。矯正をして歯が引っ込むと、その部分の皮膚の張りが失われてしまうのが原因です。

 

1-4歯の噛み合わせが悪くなった

見た目の改善にのみ重点を置いてしまい、噛み合わせを考慮しないで矯正治療を進めてしまうと、歯並びだけ整ってきちんと噛み合わない、という状態になりかねません。このような場合には、再度矯正治療をやり直す必要性が出てきます。

 

ただし、矯正治療が終わった直後は、噛み合わせは悪くないのに筋肉の使い方がうまくできずに噛みにくく感じるということもあります。このような場合には、徐々に筋肉の使い方に慣れていって噛めるようになる場合がほとんどです。

 

1-5歯茎が下がった

矯正治療は、骨の中に埋まっている歯を移動させる治療です。骨や歯茎の薄い人の場合は特にですが、薄い部分に向かって歯を移動することにより、骨や歯茎が痩せて歯茎が下がりやすくなります。

 

抜歯が必要な矯正治療の場合に抜歯をせず、無理やり外側に歯並びを広げて並べたような場合には特に、このようなことが起きやすくなります。

 

もしくは、歯並びがガタガタであった場合、それをきれいに並べることによって、それまでダブついていた歯茎が引き締まることにより、歯茎が下がったと感じる場合もあります。

 

1-6 歯と歯の間に隙間ができた(ブラックトライアングル)

矯正治療をして重なっていた歯がまっすぐ並ぶことにより、それまで目立たなかった歯と歯の間の下の部分の隙間が黒い三角形の形で目立つようになって、老けて見える原因になることがあります。

 

1-7虫歯・歯周病になってしまった

特にワイヤー矯正の場合、装置が邪魔になり、歯磨きが不十分になることによって虫歯や歯周病になってしまうことがあります。

 

1-8歯の神経が死んでしまった

歯を動かす力が強すぎて神経が弱って死んでしまう、もしくは、歯を動かしたら歯根の先端が骨から出てしまうことで歯に栄養が送られなくなって神経が死んでしまう、ということが起こる場合があります。

 

1-9 歯根が短くなってしまった

歯を動かす力が強すぎると、歯根が吸収されて溶けてしまい、歯根が短くなってしまうことがあります。

 

1-10 頭痛や顎の痛みが出るようになった

矯正治療により下顎が適切でない位置に固定されてしまうと、頭痛や、顎関節症による顎の痛みを引き起こすことがあります。

 

1-11治療期間がダラダラと長引いてしまった

当初予定していた治療期間をかなり超えてもなかなか矯正治療が終わらない、という場合、治療計画自体に問題があった可能性があります。

 

1-12歯並びがまた悪くなってしまった(後戻り)

矯正治療が終わった後は、リテーナーという装置を一定期間つけて、歯並びが動かないようにする必要があります。この過程をきちんと行わないと、せっかく並んだ歯並びがまた乱れていってしまいます。

 

2.歯列矯正で失敗しないための知識・対処法

2.歯列矯正で失敗しないための知識・対処法

 

2-1信頼できる矯正歯科医の治療を受ける

矯正治療は治療を行う歯科医によって結果も変わってきます。治療を受けるならば、矯正治療を専門としている歯科医師、経験豊富な歯科医師であることはもちろんのこと、しっかりと話を聞いてくれるか、メリットやデメリットを含め治療の説明をしっかりとしてくれるか、といったことも重要です。

 

2-2歯科医師とよく話し合い、自分に合った治療法を選ぶ

治療法によっては、自分が希望している治療法が自分に合わない場合もあります。自分のケースにはどのような方法で行うのがベストなのか、歯科医師の意見もよく取り入れた上で、自分に合った治療法を選ぶようにしましょう。

 

2-3 装置を正しく使用する

インビザラインなどのマウスピース矯正の場合、決められた通りに毎日装着しないと結果がきちんと表れず、治療が長引いてしまうことにもなりかねません。また、後戻り防止のリテーナーも、怠ってしまうと、せっかくの努力が水の泡になってしまうので、きちんと装着することを忘れてはなりません

 

2-4口腔ケアは念入りに正しく行う

歯に装置がつく矯正治療中というのは、多かれ少なかれ、虫歯や歯周病のリスクが高まります。そのため、それまで特に歯のトラブルがなかった人でも、歯や歯茎のトラブルが起こりやすくなります。それを回避するためには、矯正前よりも念入りにお口のケアを行う必要があります。

 

3.それでも歯列矯正をやったほうがいい理由

3.それでも歯列矯正をやったほうがいい理由

「やらなきゃよかった」という話ばかり聞くと、矯正治療に後ろ向きになってしまうかもしれません。ですが、やはり、矯正治療をすることには、次のような大きなメリットがあります。

 

3-1歯が長持ちしやすくなる

歯並びがきれいに整い、歯磨きがしやすくなると、虫歯や歯周病のリスクが下がります。また、噛み合わせが整うことで、歯にかかる負担も均等になるため、特定の歯にダメージがかかりにくくなり、結果的に歯を長持ちさせやすくなります。

 

3-2不快症状が起こりにくくなる

歯並びが悪いとお口のトラブルが起こりやすくなります。矯正治療をしておくことで、そのようなトラブルがおのずと減っていき、快適な毎日を過ごしやすくなります。

 

3-3体の健康状態も改善しやすくなる

歯と体の健康状態は深く関係し合っています。歯並びが整い、歯が健康を保ちやすくなることで体も健康を保ちやすくなりますし、噛み合わせが整うことで体幹もしっかりし、将来的に寝たきりになるリスクも減らすことができます。

 

4.まとめ

 

今回は、歯列矯正の失敗例を中心にご紹介しました。たくさんご紹介しましたが、このようなケースというのは、決して頻度として多いものではなく、実際は矯正治療を受けることによって満足される人がほとんどです。

 

矯正治療を成功させる上で、治療を受ける歯科医院選びや、ご自分の矯正治療に臨む姿勢というのはとても重要になってきます。また、ご自分の思い描いているイメージをできるだけ歯科医師に伝えること、そしてそれに対して歯科医師がきちんと検査を行った上で治療計画をしっかりと立ててくれることも大事です。

 

矯正治療はメリットの大きな治療です。ぜひ、満足のいく矯正治療を受けるためにも今回の記事を参考にしてみてください。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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