矯正治療の痛み、いつまで続く?どのくらいの痛み?対処法についても教えて!

矯正治療の痛み、いつまで続く?どのくらいの痛み?対処法についても教えて!
矯正治療は「痛い」、このような話をよく耳にするのではないでしょうか。
矯正治療は長いと2年以上かかることもあるので、痛みが長く続くとなると、「耐えられるだろうか」と、不安に感じてしまう人もいるかと思います。

実際、矯正治療ではある程度の痛みを感じることはあります。
ですが、その痛みにはピークがあり、強い痛みがずっと続く、ということはありません。

今回の記事では、

・矯正治療の痛みの原因
・矯正治療の痛みはどのくらい続くのか?
・痛みのピーク時にはどのくらい痛いのか?
・矯正治療時に痛みが出た時の対処法

についてそれぞれ解説していきます。
現在矯正治療を考えている方で痛みのことが心配な方、実際に矯正治療中で痛みの対処法が知りたいという方はぜひ参考にしてみてください。

 

1.矯正治療の痛みの原因は?

矯正治療時には次のようなさまざまな原因により痛みを感じることがあります。

 

1-1歯が動くのに伴う痛み

矯正治療では、歯に弱い力を持続的にかけることで歯を動かします。
その際に歯の周囲の組織が圧迫されるため、痛みを感じます。通常、矯正治療を始めた当初や、装置を交換した後に特に感じやすい痛みです。

この痛みは特にワイヤー矯正の場合に起こりやすいですが、最近ではワイヤー矯正でも摩擦を少なくして弱い力で歯を動かせるようになってきているため、以前に比べると痛みが軽減されてきています。

◆歯根膜への圧迫による炎症
歯根膜とは、歯と骨をつなぐ繊維のことです。
歯を動かす時には歯根膜が圧迫され、その部分の血流が一時的に低下して炎症性物質が放出されます。その結果、とくに歯に触れると敏感に痛みを感じ、やわらかいものでも噛みにくくなります。

◆骨の改造に伴う痛み
歯が移動している間は、歯の周囲の骨の改造が行われています。その際に鈍い痛みや歯が浮いているような違和感が出ることがあります。
強い痛みではありませんが、 強く噛んだり硬いものを噛んだりすると痛みを感じることがあります

 

1-2装置による物理的な刺激による痛み

ワイヤー矯正の場合、歯の表面に固定されるブラケットやそこに通すワイヤー、ワイヤーを固定するための針金が頬や唇の粘膜、舌に当たることで口内炎を作り、痛むことがあります。

マウスピース矯正の場合には、歯の表面に硬い装置が付かないので、このような痛みはほとんど感じることはありません。

 

1-3かみ合わせが変わることによる痛み

歯がだんだんと動いていくにつれ、かみ合わせも変化していきます。
その結果、特定の歯だけ強く当たるようになることがあり、一時的に痛みを感じることがあります。

 

2.矯正治療の痛みはどれくらい続くの?

2.矯正治療の痛みはどれくらい続くの?

矯正治療の痛みは、ずっと同様に続くわけではなく、タイミングによっても異なりますし、人それぞれのお口の状況によっても異なりますので、どれくらい続くのか、というのは一概には言えません。

ですが、一般的には次のような傾向があります。

 

2-1強めの痛みは数日で落ち着く

矯正治療で痛みが最も強く出るのは、装置を付けた後や、ワイヤー交換をした後です。
具体的には、装置を付けた、もしくは交換した後から2~3日くらいが最も痛みの程度が強く、その後はだんだんと落ち着いて1週間ほどであまり感じなくなっていきます。

 

2-2鈍い痛みや違和感は時々感じることも

装置がついている間は、歯はゆっくりと動いていきますので、骨の改造に伴う鈍い痛みや硬いものを噛んだ時の痛みは矯正治療の間中、時々感じることもあります。

また、かみ合わせの変化に伴う歯のピンポイントの痛みも一時的に感じることがあるかもしれません。

 

2-3口内炎の痛みは1~2週間ほど

装置の刺激により口内炎ができた場合、できてから治るまでに1~2週間ほどかかります。ですが、次々にできてしまうとずっと痛みを感じてしまう場合もあります。

 

3.ピークはどれくらい痛い?

矯正治療に伴う痛みのピーク時に感じる痛みは、どのような矯正方法で行うかによっても違いますし、その人それぞれの痛みの感受性などによっても異なりますが、多くの患者さんは次のように表現しています。

・歯に触れると痛い
・上下の歯が合わさると痛い
・歯が浮いた感覚がある
・歯に鈍痛を感じる
・麺類などやわらかいものを噛んでも痛い

痛みの程度としては、通常は激痛レベルのものではなく、痛み止めを飲むほどではない、弱め~中等度の痛みといったところです。

ただ、歯に触れると痛いので、通常通りの食事は難しく、やわらかいものを食べてしのがないといけない場合も出てくるでしょう。

 

4.痛みが出た時の対処法は?

4.痛みが出た時の対処法は?

矯正治療中に辛い痛みがある場合、次のような対処をして乗り切りましょう。

 

4-1歯が動くのに伴う痛みへの対処法

ワイヤー装着、交換後に現れる歯の鈍痛、感覚過敏には次のように対処しましょう。

◆やわらかい食事をとる
歯と歯が触れ合うだけで痛みが出るような敏感な症状がある場合には、麺類すら噛み切れなくなったりすることもあります。

そのため、痛みの強い数日間は、スープ、おかゆ、豆腐、マッシュポテト、ヨーグルト、スムージー、ゼリーなど、歯に負担のかからないものを食べるようにしましょう。

◆冷たいものを口に含む
歯が動くときに感じる痛みは炎症が原因になっていますので、冷やすと症状が和らぎやすくなります。もし辛い時には氷を口に含む、冷たい飲み物を飲むなどしてみましょう。

◆痛み止めを飲む
ほとんどの場合、そこまで痛みが強く出ることはありませんが、もしどうしても辛いという場合には市販の痛み止めをとっても通常は問題ありません。

ですが、薬の種類によっては歯の動きを遅らせるという研究報告もあるので、歯科医師の推奨する薬(アセトアミノフェン系など)を服用するようにしましょう。

 

4-2装置の接触による痛みへの対処法

ブラケットやワイヤーが口内に擦れて痛みが出る場合には次のような対処をしましょう。

◆矯正用ワックスを使う
ワイヤーの先が粘膜に当たって痛い、という場合には、矯正用のワックスでその部分をカバーすることで粘膜を保護し、口内炎になるのを防いだり、口内炎の痛みを和らげたりすることができます。

◆刺激性の食べ物を控える
口内炎ができてしまった場合は、辛い物、酸っぱいもの、熱いものなど刺激のあるものは痛みますので控えるようにしましょう。

◆口内炎の薬を塗る
口内炎用の軟膏を塗ることで口内炎の痛みを和らげることができます。

◆口内を清潔に保つ
口内炎は、口内の傷ついた部分に細菌感染をすることで起こります。つまり、口内が不潔だと口内炎ができやすく、治りにくくなりますので、こまめに歯磨きをして口内を清潔に保ちましょう。

◆歯科医院に連絡する
ワイヤーが粘膜に刺さっている、装置が外れている、というような場合には、様子を見てもよくなりませんので歯科医院で調整してもらいましょう。

 

5.まとめ

矯正治療時に出る痛みは、歯が動き始めることで歯の周囲の組織が刺激を受けるために起こる正常な体の反応です。

装置の交換後に強めの痛みを感じると「何か問題が起こっているのかな?」と不安になってしまうかもしれませんが、通常は数日で改善していきますので、様子を見ましょう。そしてもし、痛みが辛い場合には今回ご紹介した方法を試してみてください。

ただし、ワイヤーが刺さっている、装置が外れている、といったようなことが原因で痛みが出ている場合には様子を見ても悪化していきますので、このような場合には早めに歯科で調整してもらうことが大事です。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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