
実際、歯の黒ずみはむし歯のサインであることも多いのですが、なかにはむし歯以外の原因で黒く見えていることも少なくありません。
今回は、歯が黒くなる主な原因と見分け方のポイント、そして歯科医院を受診する目安について、なるべくわかりやすくお話ししていきたいと思います。
1.歯が黒く見える主な原因
「歯の黒ずみ」と一口に言っても、その正体はさまざまです。まずは代表的な原因を整理してみましょう。
1-1.むし歯
むし歯は、お口の中の細菌が糖分をもとに酸を作り出し、その酸によって歯が少しずつ溶かされることで起こります。歯の表面が溶け始めた初期の段階では無色、もしくは白く濁ったように見えることもありますが、進行して歯質が崩れてくると、汚れや色素が沈着しやすくなり、茶色や黒っぽい色に変化していきます。
とくに奥歯の溝や歯と歯の間は歯ブラシの毛先が届きにくく、むし歯ができやすい部分ですので、黒ずみが見つかりやすい場所でもあります。むし歯がどのように進行していくかについては、厚生労働省の情報サイトも参考にしてみてください。
参考:厚生労働省 むし歯の特徴・原因・進行
また、銀歯やコンポジットレジンなどの被せ物・詰め物が入っている歯は、見た目には問題がなさそうでも、内部で「二次カリエス」と呼ばれるむし歯の再発が起こっていることがあります。
この場合、黒ずみが表面から見えにくいため、黒ずみに気づいたときにはむし歯がかなり進んでいる、ということも珍しくありません。
関連記事:銀歯やセラミックの被せ物 の痛みは放置すると危険?原因と治療法・予防法について
1-2.むし歯以外の原因
一方で、次のような場合には、むし歯ではなくても歯が黒っぽく見えることがあります。
◆ステイン
毎日飲食していく中で、コーヒーや紅茶、赤ワイン、カレーなどの色素を多く含むものを頻繁に口にしていると、歯に黒っぽい着色が付きやすくなります。
また、タバコを吸っている場合には黒いヤニがこびりつきますし、体質的にお口の中に特定の色を作る細菌が多い人の場合、その細菌の影響で点状に黒い着色がつくこともあります。
◆歯石
歯石は白っぽいイメージがある人も多いかもしれませんが、黒い歯石がつくこともあります。
◆神経を取った歯
むし歯の放置や歯をぶつけたことなどが原因で歯の神経が死んでしまうと、歯に栄養が行かなくなることや、内部の出血による色素沈着から歯全体が徐々に黒ずんでいきます。
◆銀歯の着色
とくに昔使われていたアマルガムなどの銀歯は、歯に黒い着色を起こすことがあります。
◆むし歯の進行止め(サホライド)
小さなお子さんの場合、むし歯の治療ができずに進行を一時的に抑えるお薬(サホライド)を塗布することがあります。この薬は歯が黒くなる成分を含んでいるため、歯が黒く見えてしまいます。
関連記事:子どもの歯にできた「黒い線」「黒い点」はむし歯なの?
以上のように、「黒い=むし歯」と決めつけてしまうのは早計で、原因によって対応もまったく異なってきます。
2.自分で見分けるときのポイント

黒い着色の原因が何であるか?それを自己判断するのは難しく、最終的な判断は歯科医師にゆだねなければなりませんが、ご家庭でも大まかな見当をつけられるポイントはあります。
いくつか、見分け方の目安をご紹介します。ただし、当てはまらないケースも多くありますので、自己判断して放置するのではなく、一度必ず歯科でチェックしてもらいましょう。
2-1.表面がへこんでいない
黒ずんでいる部分がへこんでおらず、爪や舌で触れても引っかかりを感じない場合、
着色や歯石である可能性が考えられます。
2-2.穴があいている、ざらざらしている
反対に、黒ずんだ部分に穴があいている、表面がザラザラ・ネバネバする、押すとやわらかい感触がある、といった場合には、むし歯が進行しているサインの可能性が高くなります。
2-3.しみる感じや痛みがある
冷たいものや甘いものがしみる、噛むと痛みがある、といった症状がある場合も、むし歯を疑う材料になります。
3.自己判断が難しい理由
先ほどお伝えした二次カリエス(むし歯の再発)のように、表面からは黒く見えなくても内部でむし歯が広がっているケースもあれば、金属による着色、逆に色は黒くても進行が止まっている「初期むし歯」で様子見が可能なケースもあり、見た目だけで大丈夫かどうか、正確に判断するのはどうしても限界があります。
歯科医院では、目で見て確認するだけでなく、専用の機械や器具、レントゲン写真などを使って歯の内部の状態まで確認しますので、治療が必要かどうか、すぐにわかります。
自分では「痛くないし大丈夫だろう」と思っていても、実はかなりむし歯が進行しているケースもありますので、最終的な診断は必ず歯科医師にしてもらうようにしましょう。
4.早めに歯科を受診したほうがいいケースとは?

4-1.早めに受診していただきたいサイン
次のような場合には、様子を見ずにできるだけ早めに歯科を受診しましょう。
- 黒ずんだ部分に明らかな穴があいている、欠けている
- 冷たいもの・甘いものがしみる
- 噛むと痛い
- 何もしなくてもズキズキと痛む
- 黒ずみが急に広がった、色が濃くなってきた
とくに、痛みなどの症状は、むし歯がかなり進行してから現れることが多いため、症状が出ている場合には自己判断で様子を見ず、早めにご相談いただくことをおすすめします。
4-2.症状がなくても定期的な受診をおすすめする理由
一方で、痛みなどの自覚症状がない場合でも、定期的に歯科医院でチェックを受けていただくことが、結果的にむし歯の早期発見・早期治療につながります。
日本歯科医師会のホームページでも、日々のセルフケアに加えて、年に1〜2回程度は歯科医院でのプロフェッショナルケアを受けることが、歯を長く健康に保つポイントの一つとされています。
参考:日本歯科医師会 公益財団法人 8020推進財団 むし歯・歯周病を防ぐセルフチェック習慣
定期検診がなぜ大切なのかについては、こちらのコラムでも詳しくご紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
関連記事:歯科検診(歯の定期検診)なぜ必要なの?通う人と通わない人の違いは何?
もしも黒ずみが着色や歯石によるものだったとしても、ご自身の歯みがきだけではなかなか落としきれず、こすり過ぎて歯にキズをつける恐れがありますし、歯石は放置すると歯周病を悪化させる原因になりますので、できるだけ早めに歯科医院でのクリーニングを受けていただくのがおすすめです。
5.まとめ
歯の黒ずみは、むし歯によるものだけでなく、着色や歯石、神経が死んでしまった歯、金属による着色、進行止めの薬の影響など、さまざまな原因で起こります。
見た目やさわった感触でもある程度の見当はつけられますが、詰め物の内部で広がる「二次カリエス」のように内部で進行しているむし歯は自己判断が難しいのも事実です。
「黒いからむし歯」と不安になりすぎる必要はありませんが、痛みやしみる症状がある場合はもちろん、症状がなくても気になる黒ずみを見つけたら、放置せずに一度歯科医院でチェックを受けてみてくださいね。
当院でも、患者さんお一人おひとりの状態に合わせて丁寧にご説明しながら診察していますので、気になることがあればお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
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