
これは誰もが持つ望みなのではないでしょうか・
日本では、80 歳になっても 20 本以上の歯を保つことを目標にした「8020(ハチマルニイマル)運動」が進められており、実際に達成する方も年々増えてきました。一方で、同じ年齢でも歯がしっかり残っている方と、早くから歯を失ってしまう方がいらっしゃるのも事実です。
では、歯を長持ちさせている方には、どのような共通点があるのでしょうか?
今回は、毎日の診療で多くのお口を拝見してきた立場から、歯を守るために大切な習慣をやさしくお伝えします。
1. まずは「歯を失う原因」について知っておきましょう
1-1. 歯を失う二大原因は「むし歯」と「歯周病」
歯を失う原因のトップを占めるのはむし歯と歯周病です。
比較的若いうちはむし歯で、年齢を重ねるにつれて歯周病で歯を失う方が増えていく傾向があります。
また、治療していないむし歯がある歯や、かぶせ物をしている歯、部分入れ歯の金具がかかっている歯などは、失われるリスクが高いことも知られています。
つまり、「一度治療した歯をいかに守っていくか」も、歯を長持ちさせるうえでとても大切なポイントとなります。
関連ページ:なぜ銀歯の下はまたむし歯になるのか?『二次カリエス』を防ぐための秘訣とは?
1-2. どちらも「痛みが出にくい」のが怖いところ
歯や歯茎に異変や痛みを感じてから歯科を受診すればいい、そう思っている人もいるかもしれません。ですが、むし歯も歯周病も、初期のうちはほとんど痛みが出ない、という共通点があります。
特に歯周病に関しては、気づかないうちにゆっくりと進み、歯茎の腫れや歯のぐらつきといった明らかな感じたときには、かなり進行していることも少なくありません。
歯を長持ちさせている方は、「痛くなってから」ではなく「痛くなる前に」手を打っている方が多い傾向があります。
2. 歯を長持ちさせる人の共通点① 毎日のセルフケアを丁寧に続けている

2-1. 歯みがきのポイントを押さえている
歯を長持ちさせている方は、ただ長く磨くのではなく、「汚れが残りやすい場所」を意識して磨いています。特に、歯と歯茎の境目、奥歯の溝、歯と歯の間は磨き残しが多い場所で、そこからむし歯や歯周病を発症することが多いです。
歯ブラシは鉛筆を持つように軽く握り、毛先を歯に当てて小刻みに動かすのが基本です。力を入れすぎると歯を傷つけたり、歯がすり減ったりする原因になるため、やさしい力で 1〜2 本ずつ丁寧に磨くことを心がけましょう。
また、毛先が開いた歯ブラシは汚れを落とす力が弱くなりますので、1 か月を目安に交換するのがおすすめです。
関連ページ:「磨いているのに汚い」になってない?プロが教える正しい歯ブラシの使い方と選び方、交換時期について
2-2. 歯ブラシ以外の器具も使っている
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは十分に落としきれません。歯を長持ちさせている方の多くは、デンタルフロスや歯間ブラシを毎日の習慣にしています。
歯と歯の間がせまい部分にはフロス、すき間がある部分には歯間ブラシ、というように使い分けるのがおすすめです。また、歯並びが重なっている部分や一番奥の歯の裏側などには、毛束が小さい「ワンタフトブラシ」も便利です。
お口の状態によって合う器具やサイズは異なりますので、迷ったときは歯科医院で相談してみましょう。
参考:歯間部清掃(デンタルフロス・歯間ブラシ)(健康づくりサポートネット/厚生労働省)
2-3. 夜寝る前の歯みがきを特に大切にしている
1 日の中でも、特に丁寧に磨いてほしいのが夜寝る前です。眠っている間は唾液の量が減り、お口の中を洗い流す働きが弱くなるため、細菌が増えやすい状態になります。
歯を長持ちさせている方は、朝や昼は手早く済ませることがあっても、夜だけはフロスや歯間ブラシも使いながら時間をかけて磨いている、という方が少なくありません。「夜はしっかり、丁寧に」を合言葉に、1 日の汚れをリセットしてから眠る習慣をつけていきましょう。
3. 歯を長持ちさせる人の共通点② 定期的に歯科医院へ通っている
3-1. 症状がなくても「定期検診・メインテナンス」を受けている
歯を長持ちさせている方に最も共通しているのが、症状がなくても定期的に歯科医院へ通っていることです。
毎日どれだけ丁寧に磨いていても、磨き残しや歯石は少しずつたまっていきます。定期的なメインテナンスでは、お口のチェックや専門的なクリーニングを行い、むし歯や歯周病の兆候を早めに見つけることができます。
なお、歯周病は基本的に、「一回治療したら終わり」ではなく、再発を防ぐためには定期的なメインテナンスが必要となります。
参考:メインテナンス(健康づくりサポートネット/厚生労働省)
関連ページ:歯科検診(歯の定期検診)なぜ必要なの?通う人と通わない人の違いは何?
関連ページ:歯周病・歯槽膿漏は歯磨きで治せる?セルフケアの限界とは
3-2. 「削って詰める」の繰り返しを避けている
歯は、治療を重ねるたびに少しずつ削られて小さくなっていきます。詰め物やかぶせ物のやり直しを繰り返すと、だんだんと状況は悪化し、最終的には神経をとる治療や抜歯が必要になることもあります。
だからこそ、むし歯は小さいうちに治し、治療した後も定期的にチェックを受けて、再治療が必要にならないよう守っていくことが大切です。
関連ページ:同じ歯を何度も治療していませんか?”削っては詰める”を繰り返さないためにできること
4. 歯を長持ちさせる人の共通点③ 歯にやさしい生活習慣を心がけている

4-1. タバコを吸わない
実は、喫煙は、歯周病を悪化させる大きな要因のひとつです。タバコを吸っていると歯茎の血流が悪くなり、歯周病の初期のサインである出血、歯茎の赤みなどのサインが出にくくなるため、歯周病の発見が遅れやすくなります。
参考:喫煙と歯周病の関係(健康づくりサポートネット/厚生労働省)
4-2. だらだら食べ、だらだら飲みをしない
甘い食べ物や飲み物を口にする回数が多かったり、間食をだらだらと続けたりといった生活習慣のある人は、歯にプラーク(歯垢)が溜まりやすいため、むし歯や歯周病のリスクが高くなります。
食事やおやつの時間を決めて、メリハリのある食習慣を心がけることが、歯を守ることにもつながります。
4-3. 歯ぎしり・食いしばりに気をつけている
就寝中の歯ぎしりや、日中の無意識の食いしばりは、歯に大きな負担をかけ、歯のすり減りやひび割れを起こしやすく、むし歯、歯周病にもつながっていきます。
思い当たる方は、マウスピースの使用などで歯を守る方法もありますので、一度ご相談ください。
関連ページ:歯ぎしりの原因はストレス?予防や対策方法はあるの?
5.まとめ
以上ご紹介したように、歯を長持ちさせている方の共通点は、決して特別なことではありません。毎日の丁寧なセルフケア、症状がなくても続ける定期的なメインテナンス、そして歯にやさしい生活習慣。この 3 つを「当たり前」として積み重ねていることが、何よりの秘訣です。
「もう歯が悪くなってしまったから…」とあきらめる必要はありません。今から始めることで、残っている大切な歯を守っていくことは十分に可能です。
生涯ご自身の歯でおいしく食事を楽しむために、私たちも一緒にお口の健康をサポートしてまいります。気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談くださいね。
関連ページ:『抜歯しかない』と宣告された方へ|まだできることはある?大切な歯を残すためにできることとは?
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